第1章: 「閉じ」と「空気」を司るパーツたち
声が生まれる為には、いろいろなルールがあります。
- 空気が喉を通り抜ける時、空気に吹き飛ばされた声帯たちがぶつかりあうことで声が生まれる。
- 体の中には「声帯の閉じをサポートするパーツ」と「空気の量をコントロールするパーツ」がいくつも存在する。
- 低音と比べて、高音の方が1秒あたりに声帯のぶつかる回数は多くなる。
- 「声帯の閉じをサポートするパーツ」達をいくつも稼働させすぎると、閉じの力がキャパオーバー(重量オーバー)になってしまい、高音を出すための”素早い声帯の動き”がやりづらくなる。
などなど…。
その中でも「閉じ」と「空気」に関わるパーツたちの存在を知ることはとっても重要です。
高い音になるにつれ「声帯の閉じをサポートするパーツ」の量を減らしていけば、身軽になった声帯は軽やかに動くことができ、高音も出やすくなります。
ただその分、空気のパワーに抗うための耐久度も減ってしまうので、閉じの耐久度よりも空気が強い時は、声帯は耐えきれずに崩壊し、声は裏返ったり途切れたりしてしまうのです。
これはみんなが体験する高音のジレンマですね。
だからこそ高音域を出す際は、
- 音階ごとに、声帯の閉じをサポートするパーツたちを適切な順で減らしていく。
- 各閉じの耐久度に見合った適切な空気の量を選ぶ。
というコントロールをすることで、大きすぎる空気の圧に抗おうとした際の「喉締め&張り上げの我慢・緊張」も減っていき、各音域が出しやすくなっていきます。
Voishのボイトレの基本理念は「声帯の動きと空気の供給量を調整するサイクルを確立すること」です。
声帯の運動と空気の量を最適に調整することで、高音域や低音域も安定して出せるようになっていきます。
第2章: 発声のコントロールとパーツの誤作動
声をコントロールする際に問題が生じる原因のほとんどは「意図しないパーツの誤作動」です。
つまり、”必要のないパーツが勝手に働いてしまい、本来使うはずのパーツの働きを妨害している”という状態ですね。
この問題を解決していくには「各パーツの動きを個別に操作していきながら、正しく理解&認知していく」ということが大切です。
私達は「右」と「左」という概念を知っているからこそ「真ん中」という概念を理解できたり選べたりするように、各パーツの動きを個別に操縦出来るようになると、誤作動していたパーツの動きを抑制し、本来使いたかったパーツたちを表へ引きずり出す&育てることが出来るようになります。
ただ、勘違いして欲しくないのは「誤作動してしまっていたパーツ=発声にNGなパーツ」では無いということ。
これまで、
- もっと体に力を込めれるようにしよう
- もっとバランスを取りやすくさせよう
- もっと息をたくさん取り込めるようにしよう
など、日常生活の行動のためには必須だったパーツ&バランス達であり、毎日フル稼働させてきたからこそ、歌うときにもその動きの癖&影響が出やすくなっていただけなんですよね。そのパーツたちを使った時にしか出せない音も必ずあるのです。
大切なのは、様々なパーツの動きと、それらの組み合わせによって生まれる音や状態をたくさんストックしていくことです。
どのバランスが自分の出したい音なのか、じっくり学びながら、最適な発声方法を知っていきましょう。
さいごに
ここまでで、
日常生活で身につけてきた「特定のパーツの動かし方&組み合わせ方」こそが、話したり歌ったりする際の「声のいろんな不自由さ」に繋がっていた。
って事が少しでも伝わったのならとても嬉しいです。
Voishのボイトレでは、これまでの喉や体の使い方を見直し、声を出すための各パーツの動きを最適化していくトレーニングを提供しています。
基本的な考え方を学びつつ、音域や声量のコントロールを上手にマスターして、充実した発声ライフを過ごしてもらえるのを祈っています!