これまで唇、舌に力が入っている場合のボイトレ方法を紹介してきました。
歌う時、力が入りやすい箇所には顎(あご)もあります。特に高音を出す際に力が入りやすいです。
今回は、顎のボイトレ方法を紹介します。
顎に力が入ることで歌に与える悪影響とは
結論から先にいうと、顎に力が入ると舌が固くなったり、舌根(舌の付け根の部分)が声道が塞がれてしまいます。
言葉だけで解説しても分かりにくいと思いますので、喉周辺で起こっていることを図にしました。
以下の図のように、舌が緑の矢印の方向に移動して、声道が狭くなり声が出しにくくなります。
大抵の人は肺からの空気量を増やすことで、狭くなった声道を無理やりこじ開けて音を出そうとします。
高音になるにつれて顎に力が入りやすいので、ある音域になると裏声になるまたは声が出なくなるという現象が発生します。
この時、喉の中で起こっている現象を簡単に解説します。
声を出すには以下の図のように声帯が引っ付いて振動する必要がありますが、吐く空気量が多くなりすぎると声帯は離れそうになります。
声帯が離れないように顎に力を入れて舌で声道を防いで無理やり空気量を減らそうとします。
空気を防ぎきれなくなったときに、裏声になったり、声が出なくなるという現象が発生するのです。
意図的に顎に力を入れることで音色が変えることも出来る
歌唱時に顎に適切な力を入れれることが前提ですが、意図的に顎に力を入れると固い音(力強い音)、弱めると柔らかい音を出すことが出来ます。
しかし、このレベルに達するにはプロの歌手でも難しいので、こんなことまで出来る可能性があるということだけ覚えて頂ければいいかと思います。
今回は、誰にでも出来る簡単な顎のボイトレ方法を次のセクションで紹介します。
大きな声を出す必要はなく、鏡さえあれば出来ますので、高音が出せずに悩んでいる方は是非試してみて下さい。
顎のボイトレ方法
顎のボイトレ方法はとても簡単です。
まずは、鏡を用意してください。
用意できましたか?
最悪、無くても練習は可能ですが鏡があった方が効果的に練習できます。
(1)自分の出しやすい音域から1オクターブ移動します。例えば、C3からC4まで上がりC3に戻ります。
このとき音を出すのは鼻からだけにして下さい。
(2)(1)の音域で問題なく出せることを確認したら、次は口をパクパク動かしながら(1)をやります。
(3)この後は、1音ずつ上げながら(1)と(2)を繰り返します。
音域を上げていくと、音が詰まるまたは声が裏返るようになりますが、そのときに口をパクパク動かしてみて下さい。
それで少し音の詰まりや裏返りが解消される場合は、顎に力が入っているという証拠です。
自分の苦手な高音域で口をパクパクさせて綺麗に音を出せることに慣れてから、口を動かさずに音を出せるようになるまで練習してみて下さい。
まとめ
今回紹介した顎のボイトレは今まで紹介した舌や軟口蓋などよりも手軽に出来ますが、とても効果のあるボイトレ方法です。
私もボイストレーナーからは指摘されなかったので問題ないと思っていたのですが、試しにやってみると高音域がとても軽く出せるようになりました。
自分は大丈夫だと思っている方でも、本当に出来るのかを確認してみることをおすすめします。
顎のボイトレ方法は他にもありますので、今後紹介させて下さい。
・顎のボイトレは口をパクパクさせるだけで出来る。
・顎を自由に使えるようになると、音の柔らかさも変更可能になる。