裏声が出ない・不安定になる5つの原因とは?
「裏声が出ない」「ひっくり返る」「弱々しい」…それは才能ではなく構造の問題
高音を気持ちよく出したい。
でも実際には、「裏声が出せない」「声が途中でひっくり返ってしまう」「か細くて歌にならない」——そんな悩みを抱えていませんか?
これらの現象は、決して“才能がない”からではありません。
実は、声帯・姿勢・呼吸・共鳴の使い方が整っていないだけなのです。
裏声は「もともと出ない人がいる」ものではなく、誰でも出せるけれど使い方を知らないだけの声。
つまり、正しい知識と練習があれば、確実に鍛えて安定させることができるスキルです。
裏声が不安定な人に共通する5つの原因
① 声帯の伸展・閉鎖がうまくできていない
裏声は、地声とは異なる声帯の動きが必要です。
具体的には、声帯をしっかり引き伸ばし、かつ閉じるという繊細なバランスが求められます。
この調整が不十分だと、「出そうとすると抜ける」「息っぽくなる」などの問題が起こります。
特に、声帯を締めつける“喉声”で地声を出し続けていた人は、裏声に切り替えるための筋肉(輪状甲状筋)が機能していない場合が多いです。
② 息の流れが不安定で支えがない
裏声は地声よりも繊細な息のコントロールが必要です。
にもかかわらず、浅い呼吸のまま裏声を出そうとすると、すぐに声が揺れたり、裏返ったりしてしまいます。
「支えがある裏声」と「息まかせの裏声」は、聞こえ方も、発声の持続力も、まったく違うのです。
③ 喉が締まりすぎていて、声が抜けない
高音域になると緊張して喉が締まり、裏声が物理的に出られる隙間がなくなる——これは非常に多いパターンです。
裏声は「抜け感」が重要なので、喉に力が入っていると、そもそも出る条件が整いません。
つまり、裏声は“力を入れて出すもの”ではなく、“力を抜いて支えるもの”なのです。
④ 響きの位置が後ろすぎる(共鳴腔が使えていない)
裏声がこもって聞こえる人の多くは、音の響きを喉の奥〜頭の後方に寄せすぎている傾向があります。
これでは「細くて弱い裏声」「不明瞭な高音」になってしまいます。
共鳴ポイントを「鼻腔前方」や「上顎付近」に移動させることで、裏声の芯が前に出て、明るく通るようになっていきます。
⑤ 地声と裏声を切り替える習慣がない(ミックス習得が進まない)
「地声と裏声がまったく別の声になってしまう」——これは、チェストボイスとファルセットの“橋渡し”がないことが原因です。
この中間を練習しないまま両極端を行き来すると、「ひっくり返る」「地声っぽくならない」といった不安定さが残ります。
裏声を強化するには、“裏声の鳴らし方”と“裏声の使い方”の両方を段階的に習得していく必要があります。
まとめ:「出ない裏声」は“鍛えていない裏声”にすぎない
裏声が出ない・響かない・続かない——その正体は、声帯の可動域・呼吸の質・脱力・共鳴・スイッチングといった5つの要素のどこかが欠けているだけ。
そして、それらはすべて練習で獲得できるスキルです。
次章では、裏声を強化するために必要な条件を満たしたボイトレメニューを5つ、目的別に紹介していきます。
裏声を安定させる!ボイトレメニュー裏声強化5選
“細い裏声”から“響く裏声”へ。必要なのは鳴らす・支える・導く感覚
裏声を強化したいなら、むやみに高い声を出そうとするのではなく、「響かせ方」と「出し方の順番」を理解することが大切です。
ここでは、裏声を支え・強く・安定させるために有効なボイトレメニューを5つに厳選してご紹介します。
どれも1日10〜15分で実践可能なメニューです。裏声に苦手意識がある方でも、体感しやすい流れになっているので、まずはひとつずつ試してみてください。
① エッジボイスで声帯の可動域を広げる
声帯がしっかり振動しないと、裏声は出ません。
エッジボイスは、声帯を最小限で動かす練習で、裏声を出す前の“声帯の起動スイッチ”として非常に有効です。
- やり方:喉を脱力し、「あ”〜〜〜」という低い、擦れたような音を出す(エッジボイス)
- 効果:裏声に必要な声帯伸展の感覚をつかむ/鳴りやすい状態をつくる
- 時間:10秒×3セット → 裏声にスムーズに切り替える練習へ
② 裏声だけで歌うスケール練習(音域拡張と安定化)
裏声が「弱い」「ひっくり返る」という人は、音域を“裏声モードのまま”上下する感覚を育てることが必要です。
そのためには、1オクターブのスケールをすべて裏声で歌う練習が効果的です。
- やり方:ピアノやアプリで1オクターブのスケールを流し、「う〜〜」の裏声で全てなぞる
- 効果:裏声の音域に均一な息と響きを通す/裏声でも高低差を安定して出せるようになる
- 注意点:喉に力が入らないように/息で押しすぎない
③ ハミング+鼻腔共鳴で響きを前に出す
裏声は、ただ高く出すだけでは“芯のない声”になります。
響きのポイントを「鼻腔〜口の前方」に移動させることで、裏声に明るさと通りやすさが生まれます。
- やり方:「ん〜〜〜」と唇を閉じた状態でハミング → 鼻の奥・前歯の上が震える位置を感じる
- 応用:ハミングから「ま〜〜」「あ〜〜」に移行し、響きを維持する
- 時間:各音3回ずつ/合計5分程度
④ “ホーホー発声”で息と音のバランスを整える
息を送りすぎると裏声は崩れ、止めすぎると鳴りません。
「ホーホー」と裏声でフクロウの鳴き声のような発声を行うことで、適度な息圧と共鳴のバランスを整えることができます。
- やり方:「ホーホー」と裏声で発声。口は縦に小さく開け、喉を力ませず響きは上へ
- ポイント:無理に高音でなく、中音で安定させることを優先
- 時間:1分×3セット
⑤ 地声→裏声→地声の切り替え練習(ミックス獲得の導入)
裏声を強化するには、地声との滑らかな切り替え=“ブリッジ”の習得が不可欠です。
「地声→裏声→地声」の切り替えを練習することで、ひっくり返らない・途切れない裏声が手に入ります。
- やり方:「あ〜(地声)」→「う〜(裏声)」→「あ〜(地声)」を一息で切り替え
- 目的:地声と裏声の筋肉を繋げる/“声区感覚”を身体に覚えさせる
- 回数:3〜5往復×3セット/録音してチェックするとより効果的
裏声強化のための15分トレーニングルーティン例
メニュー | 時間 | 目的 |
---|---|---|
エッジボイス | 2分 | 声帯の感覚起動 |
裏声スケール | 5分 | 裏声の鳴り・音域拡張 |
ハミング〜母音切替 | 3分 | 前方共鳴の確保 |
ホーホー発声 | 2分 | 息と響きのバランス |
地声↔裏声切替 | 3分 | 裏声の安定化と橋渡し |
まとめ:裏声は“鍛える”ことで響く声に育てられる
「裏声が出ない」は、“出せるフォーム”と“鳴らす環境”をまだ作れていないだけ。
裏声は才能やセンスではなく、筋肉・響き・習慣によって育てられる発声スキルです。
次章では、このトレーニングを1週間で習慣化するためのスケジュールと、裏声強化を続けるためのコツをご紹介していきます。
裏声強化を習慣化する!1週間の実践スケジュール
“なんとなくの練習”から“狙って育てる裏声”へ
裏声は、一度鳴っただけでは安定しません。
「昨日は出たけど今日は出ない…」という状態から抜け出すには、裏声を“習慣として育てる”ことが欠かせません。
ここでは、裏声強化のために必要な5つの練習を軸にした、1週間分のスケジュール例をご紹介します。
1日15分前後、毎日テーマを変えながら鍛えることで、響き・切り替え・音域のバランスが整っていきます。
裏声強化の7日間トレーニングスケジュール(1日約15分)
曜日 | トレーニングメニュー | 目的と効果 |
---|---|---|
月曜日 | ・エッジボイス(2分) ・裏声スケール(5分) ・ホーホー発声(3分) ・録音+チェック(5分) | 裏声の鳴らし方と音程移動の安定化 |
火曜日 | ・ハミング+母音切替(3分) ・裏声スケール中音域(5分) ・地声↔裏声切替(5分) | 響きの前方移動とスムーズなブリッジ構築 |
水曜日 | ・軽めの裏声スケール(3分) ・リップロール(3分) ・裏声でフレーズ音読(5分) ・休養重視で短縮メニュー | メンテナンスとリラックス重視 |
木曜日 | ・ホーホー発声(3分) ・エッジ→裏声移行(4分) ・短い歌を裏声だけで歌って録音(5分) | 実用レベルの裏声コントロールに挑戦 |
金曜日 | ・裏声+地声の切り替え(6分) ・滑舌トレ+裏声(3分) ・“語尾の響き”に注目した練習(5分) | 地声から自然につながる裏声を探る |
土曜日 | ・1週間の録音比較(5分) ・変化をノートに記録(5分) ・自由練習&裏声で短い1曲(5分) | 成果確認&フィードバックで次週へ繋ぐ |
日曜日 | ・完全休養 or 1分だけエッジ+ハミング ・声帯とメンタルのコンディション調整 | 定着とリセットの日 |
練習を“習慣化”させる3つの工夫
- ● 毎日の録音を習慣に:声の変化は耳で判断/短くても記録を残す
- ● トレーニング時間を決めておく:朝 or 夜、同じ時間にやることで定着率UP
- ● 小さな変化もメモする:「昨日より揺れが減った」「響きが前にきた」など体感を言語化
成果が出る“最初の変化”に気づくことが継続の鍵
裏声強化の初期段階で変化が出やすいのは、「出しやすさ」「音の揺れの減少」「響きの明瞭さ」といった部分です。
この変化を逃さず自覚できると、練習のやりがいや手応えが一気に高まります。
まとめ:“続ける仕組み”が裏声を育てる
裏声の響き・支え・コントロールは、筋トレのように少しずつ育てていくものです。
1週間ごとに変化を記録しながら、少しずつ“芯のある裏声”に近づいていきましょう。
次章では、ここまでの練習でやりがちな“NG習慣”とその修正方法について詳しくご紹介します。
やってはいけない!裏声を弱くしてしまうNG習慣と修正法
知らずに繰り返している“間違った出し方”が、裏声の成長を止めている
「裏声がか細い」「全然伸びない」「安定しない」
そんなときこそ注意してほしいのが、知らず知らずに染みついている“NG発声習慣”です。
裏声を鍛えたいと思って練習しているのに、そのやり方が裏声の発育を妨げているというケースは少なくありません。
ここでは、裏声の成長を阻むNG習慣を5つに絞り、その具体的な原因と修正法を分かりやすく解説します。
ひとつずつ修正することで、裏声は“鳴る・響く・つながる”声へと進化していきます。
NG① 喉を締めて高音を押し上げる
「高い音を出したい」という思いから、喉に力を入れて押し上げるように裏声を出してしまう。
これは裏声強化で最も多いミスです。
この方法では、喉が締まり、声帯が自由に動かず、かえって裏声が出づらく・不安定になります。
- 修正法:リラックスしたエッジボイス→裏声移行を通じて、喉の脱力感覚を覚える
NG② 息を流しすぎて“スカスカ”になる
裏声は「たくさん息を流すと出しやすい」と思いがちですが、息を頼りすぎると“芯のない息漏れ声”になります。
これでは鳴りが弱く、遠くに届く裏声には育ちません。
- 修正法:「ホーホー発声」や「ストローボイス」で息と鳴りのバランスを整える
NG③ “裏声だけ”で練習しすぎて、地声との切り替えができなくなる
裏声を出せるようになっても、地声との切り替えや橋渡しができないと実践では使えない声になってしまいます。
また、裏声だけを出し続けると、“鳴る裏声”を作るための筋力バランスが崩れることも。
- 修正法:「地声→裏声→地声」や「地声からのスライドアップ」で連携感を養う
NG④ 響きを後ろに引きすぎてこもらせてしまう
裏声の響きが「後ろ・頭の奥」にこもると、声に輪郭がなくなり、弱々しく・暗く聞こえてしまいます。
これは共鳴位置の選択ミスで、音の“抜け道”を自分で塞いでいる状態です。
- 修正法:ハミングから母音に開くトレーニングで、響きを前方(鼻腔〜マスク)に導く
NG⑤ 練習の効果を確認せずに感覚頼りで進める
「なんとなく良くなっている気がする」——この“感覚頼り”が、成長の実感を遠ざける最大の罠です。
感覚だけでは上達を判断できず、効果が出ているのかも分からないまま、やがてモチベーションも低下してしまいます。
- 修正法:練習前後の録音を5秒ずつでもいいので残して比較/日ごとに「良かった点」「違和感のある点」をメモ
裏声は「間違った努力」を手放すことで鳴り始める
裏声の強化で重要なのは、「がんばること」ではなく「正しい努力を選び続けること」。
NG習慣は、無意識のうちに成長を妨げ、声のクセを固定化してしまいます。
だからこそ、間違った習慣に早めに気づき、ひとつずつ修正していくことが、裏声強化の最短ルートです。
まとめ:「出ない裏声」を変えるのは、毎日の小さな“気づきと修正”
声は筋肉と習慣でできています。
だからこそ、間違った習慣をやめ、正しい方法に置き換えていくだけで、裏声の響き・芯・安定感は確実に育っていきます。
次章では、ここまでの内容を総まとめし、裏声を安定させるための継続戦略と行動計画をご提案します。
まとめ:裏声を安定させるための戦略と継続プラン
裏声は「出せる・出せない」ではなく「育てる」もの
裏声が安定しない。
出たと思ったらひっくり返る。
細くて、歌に使えない。
——その悩みのほとんどは、“才能”や“声質”ではなく、声帯の使い方・息の通し方・響きの位置・練習の順序で説明できます。
つまり、裏声は「向いている/向いていない」で語るものではなく、育て方次第で誰でも変化する発声スキルなのです。
この記事で学んだ裏声強化の5つの核
- 1. 原因を知る:声帯の使い方・呼吸・響き・脱力・ミックス切り替えが安定性を左右する
- 2. 正しいメニューを選ぶ:エッジボイス/ホーホー発声/スケール練習/ハミング/切り替え練習など
- 3. 習慣化する:1日15分・週5〜6日の実践スケジュールで、定着と向上を両立
- 4. NGを避ける:喉声・息の流しすぎ・響きの後退・裏声単独練習のしすぎを修正
- 5. 自分の声を記録・観察する:録音→比較→言語化→改善のループを習慣に
裏声強化のための“継続3ステップ”戦略
- STEP 1:録音で今の裏声の状態を確認(鳴っている?響いてる?不安定?)
- STEP 2:トレーニングメニューを1週間サイクルで継続
- STEP 3:1週間後に録音を比較・記録 → 「変化したこと」「今後の修正点」を整理
「鳴る裏声」が使えるようになると、声全体が進化する
裏声は、高音のためだけの発声ではありません。
実は、地声と裏声を繋げていくことで、声の表現力・音域・疲れにくさ・感情の幅すべてが育ちます。
さらに、裏声が使えるようになることで、声を“無理なく前に出す感覚”が掴めるようになり、地声やミックスボイスの精度までも自然と上がっていきます。
裏声は、あなたの声の可能性を広げる鍵
裏声の強化とは、声の一部を強くするだけの話ではありません。
それは、あなたの“本当の声域”を取り戻し、声にもっと自信を持つための第一歩でもあります。
今日からできる。
無理をしなくていい。
正しい順序で、丁寧に育てていけば、裏声は“響く声”としてあなたの声の武器になります。
毎日、少しずつ。
今日から“鳴る裏声”を、育てていきましょう。
Voishはどんな方にオススメできる?


・高音が出ない
・音痴をどう治したら良いか分からない
・Youtubeや本でボイトレやってみるが、正解の声を出せているか分からない