ボイトレ高い声で喉が締まる人へ。脱・力み声のための科学的アプローチ

第1章:高音で喉が締まるのはなぜ?──その正体を科学で解明

「喉に力が入る」「声が詰まる」…それ、あなたのせいじゃない

「高い声を出そうとすると喉が苦しくなる」「力を入れないと声が裏返る」
そんな悩みを持つ人は非常に多く、その原因のほとんどは“喉の使いすぎ”による無意識の緊張です。

音域が高くなると、声帯の振動スピードや筋肉の伸縮度が増します。
その結果、体は自然と「助けよう」として他の筋肉——特に首・肩・喉まわりの筋肉群を動員してしまうのです。

つまり、喉締め=“声帯以外の余計な筋肉”が働いてしまう状態
特に初心者は、腹圧・息の量・共鳴など本来使うべき要素をコントロールできないため、「喉だけ」でどうにかしようと無理をしてしまいます。

声帯周辺の仕組みを理解しよう

  • 声帯:呼気によって振動し、音の高さを調整
  • 輪状甲状筋:声帯を伸ばし高音を生み出す筋肉
  • 胸鎖乳突筋や広頚筋:高音時に誤って力が入ると“喉締め”を起こす要因に

喉締め状態では、発声時にこれら不要な外側筋群が緊張してしまい、音質が硬く、伸びがなく、声量も減ります。
さらに、疲労や枯れ声の原因となり、結果的に「高音=苦しい」の思い込みが定着してしまうのです。

あなたの喉、締まっているかチェック!

次の項目にいくつ当てはまりますか?

  • 高い音を出すと喉仏が上下に大きく動く
  • 発声後、首や肩に力が残っている
  • 録音した声が「細くてキンキン」している
  • 毎回、のどが疲れて痛くなる
  • 「高音=喉から出す」と思っている

3つ以上該当した場合、喉締めによる悪循環が始まっている可能性があります。

なぜボイトレ初心者に「喉締め」が多いのか

高音に挑戦しはじめたばかりの時期は、声帯のコントロールが不安定です。
そのため「当てにいく」「絞る」「押し上げる」といった“物理的に出そうとする癖”が出やすくなります。

この癖がそのまま定着してしまうと、喉だけで声を支える発声法が染みつき、歌えば歌うほど苦しくなるループに入ってしまいます。

科学的に見た「喉締め改善」の第一歩

喉締めを解消するためには、声帯以外の筋肉の緊張を“切る”意識が重要です。
とくに効果的なのは、

  • リップロールやハミングなど「共鳴中心の練習」
  • 声の出口を「喉」ではなく「口腔・鼻腔」へイメージすること
  • 録音を活用し「楽に出ている声」を自覚すること

次章では、実際に「喉に力を入れずに高音を出す」ための具体的な練習方法を紹介します。

第2章:喉に頼らない!“脱・喉締め”のための発声メニュー

「高音=力で出す」はもう卒業しよう

喉締めを克服するには、力を抜く=脱力がすべて。
ただし、「脱力」と聞くと何もしないように感じるかもしれませんが、実は逆。
“使う筋肉”と“使わない筋肉”を切り分けることが、正しい脱力の本質です。

喉に頼らない発声の黄金ステップ5選

ここからは、初心者でもできる“喉に負担をかけずに高音を出す”ための練習メニューを紹介します。

ステップ①:あくびポジションで喉を開く(1分)

  • 大きくあくびをするように「ふわ〜っ」と息を吸う
  • 喉が自然に下がり、舌の奥が沈むのを感じる
  • このポジションが“開いた状態”の基本

喉を開く感覚を「先に覚える」ことが、締めつけ防止の第一歩です。

ステップ②:リップロールで脱・喉声(3分)

  • 「ぶるるる〜」と唇を震わせながら、音階をなぞる
  • 声ではなく息が主役。喉が頑張らなくても出る音を体で覚える
  • 低→中→高の順に3セット

声を出す“準備運動”として最適で、喉締め傾向を自然にリセットします。

ステップ③:ハミングで“共鳴”にフォーカス(3分)

  • 「ん〜〜」と閉じた口で発声
  • 鼻の奥や額に響きを感じたら正解
  • 喉よりも「頭が震えるかどうか」に集中

喉を使わずに響きで音を届ける感覚が身につきます。

ステップ④:母音だけで高音トレーニング(5分)

  • 「あ・い・う・え・お」をそれぞれ1音ずつ高音で発声
  • 口の形と息の流れに集中。「喉で出す」感覚を捨てる
  • 録音して“力んでないか”チェック

母音練習は共鳴・息の通り道を意識しやすく、力みを可視化できます。

ステップ⑤:声を“前に出す”イメージ(毎回の意識)

  • 音を上に押し上げるのではなく、“前に投げる”感覚
  • 壁に向かって話す、鏡に向かって歌うなども有効

「声は前に通す」と意識することで、自然に共鳴が広がり喉の負担も軽減します。

練習時のチェックポイント3つ

  • 練習後に喉が痛くなっていないか
  • 録音した声が「細く・刺さる音」になっていないか
  • 出した後に首や肩が疲れていないか

これらに該当しなければ、正しい脱喉締めの発声ができているサインです。

この章のまとめ

  • 喉を使う発声から“響かせる発声”へ意識をシフト
  • 共鳴・息・姿勢が整えば、高音は自然と出る
  • 力を入れるのではなく、“邪魔をしない”のが脱喉締めの鍵

次章では、喉を痛めずに高音域を広げていくためのトレーニング戦略を紹介します。

第3章:“無理しない高音域”を育てるトレーニング設計

高音は「出す」ものではなく「育てる」もの

多くの初心者は、「高い声を一発で出そう」とします。
でも実は、声帯の筋肉や呼気コントロールは“筋トレ”のようなもの
負荷をかけすぎると喉を壊すリスクが高く、大切なのは“安全に鍛える設計”です。

ポイントは「3段階トレーニング」

いきなり高音を狙わず、以下のような段階設計でトレーニングすると安全かつ効率的です。

① 中音域を安定させる

  • 1オクターブ以内の音を“響き重視”で出す
  • 低すぎず高すぎない音域で「喉を開いて出す」練習
  • ブレや力みを感じなくなったら次へ進む

② 中高音域に“慣れる”感覚をつくる

  • 2〜3音ずつ徐々に音階を上げていく
  • 「苦しくなる直前」で止めて、力まないことを優先
  • 毎日少しずつ更新することで、無理なく音域が拡がる

③ 高音域に挑戦。録音とフィードバックで“精度”を上げる

  • 高音を出したら必ず録音して聞き返す
  • 「出せたか」より「どんな音だったか」に注目
  • “通る・響く・安定している”声を選んで定着させる

高音の「出しやすい時間帯」を活かそう

声は日中のコンディションによって変化します。
喉が温まりすぎていない朝10〜11時頃や、入浴後などがベストタイミングとされます。
また、水分補給・姿勢・呼吸の準備も、高音トレーニングの前には必須です。

週の練習プラン(例)

曜日トレーニング内容
月・木中音域の安定+録音チェック
火・金中高音への移行トレーニング
水・土ハミング&母音中心の高音発声
声を使わずイメージトレ&ストレッチ

この章のまとめ

  • 高音域は、急に出すより“階段式に育てる”のがベスト
  • 3段階に分けて、喉に負担をかけず音域を拡張する
  • 録音と感覚のフィードバックが成長の“加速装置”になる

次章では、「喉締め癖」を完全に抜け出すための“継続の工夫”と“心理的対処法”をご紹介します。

第4章:喉締め癖から脱却するための“継続の工夫”と“心のマネジメント”

喉締めの根本原因は「身体」だけでなく「心」にもある

「高音を出さなきゃ」「うまく聴かせなきゃ」
そんな“プレッシャー”や“完璧主義”が、無意識に喉や肩、舌に力を入れさせてしまう。
つまり、喉締めはメンタル由来の“防御反応”でもあるのです。

メンタルからくる力みをほぐす3つの視点

①「失敗=悪」ではないと知る

  • 裏返ってもいい、かすれてもOK
  • 「喉を守った証拠」と捉える

喉が締まる前に声が裏返るのは、“回避できている”証
むしろトレーニングとしては正しい方向性です。

②「完璧より継続」こそが成果につながる

  • 1回の出来より、1ヶ月後の変化に着目
  • 「今日もやった」の積み重ねが最大の成果

記録アプリや紙のメモに“○”をつけるだけでも、継続の達成感は十分です。

③「昨日より少し楽だった」を褒める

  • 発声時の疲れが減った
  • 音が届きやすくなった

目に見えにくい進歩こそ、継続者だけが感じられる“報酬”です。

継続のための工夫:仕組み×習慣×仲間

  • 仕組み:練習時間を固定(例:朝10分 or 風呂後)
  • 習慣:練習ログを1行で残す
  • 仲間:音声SNS(Voishやnanaなど)で公開してみる

1人で続けようとしないことが、実は最大の近道になります。

喉締め改善は「ゴール」ではなく「脱力習慣の入り口」

喉締めを克服できた瞬間、声の悩みのほとんどが解消され始めます
そしてそれは、「がんばる」を手放すことでこそ実現できる。
発声=力を入れることではなく、無駄をそぐこと
それが“本当のボイトレのスタートライン”です。

この章のまとめ

  • 喉締めには“心の緊張”が大きく関わっている
  • うまくやるより“続けられる仕組み”がカギ
  • 脱喉締めは、脱・完璧主義とセットで進めよう

最後の章では、高音の出しやすさが持続する「日常ルーティンと今後の練習指針」を総まとめしていきます。

最終章:“力まない高音”を保ち続けるための日常ルーティンと今後の指針

喉が締まらない声を「維持」することの難しさ

喉締めを改善できたとしても、それを維持するには継続的な習慣と観察が必要です。
なぜなら、生活のストレスや姿勢の乱れ、発声環境によって
喉まわりの筋肉はすぐに元のクセへ戻ろうとするからです。

毎日の習慣で「喉リセット」を

① 朝の脱力エクササイズ(3分)

  • あくび呼吸×3セット
  • 肩甲骨をぐるぐる回すストレッチ
  • 軽く「ん〜」とハミングして、喉を“使わない”声に慣れる

② 声を出す前のルーティン(5分)

  • リップロール or ブレスコントロールで喉まわりをチェック
  • 「あ・い・う・え・お」を小声で明瞭に発音
  • 録音して、声の響きと余計な力みがないか確認

③ 夜の“喉を戻す”習慣(2分)

  • 息だけで「スー」や「ふー」を吐く
  • 口周り・喉まわりのマッサージ(耳の下→首→鎖骨)

月単位で行う「振り返りと更新」

  • 録音した音源を聞いて「変化点」を見つける
  • 喉に負担のなかった発声を再確認する
  • 次の1ヶ月で取り組む課題を1つだけ設定

例:「裏返らずに出せるミドルボイスを安定させる」「母音の響きを整える」など

“喉を締めない声”がもたらす未来

あなたが目指していた“高くて楽な声”は、テクニックではなく習慣で身につきます。
そしてその声は、人に届き、共鳴し、伝わる声となります。
苦しくない発声は、あなた自身の言葉や表現にも自信を与えてくれます。

この章のまとめ

  • 高音維持のカギは「毎日の習慣」と「月1の振り返り」
  • 練習は短くてもいい。だが継続と意識だけは切らさない
  • 力を抜いた声こそが、もっとも“届く声”になる

明日も、喉を締めずに深呼吸から始めてみましょう。
今日の1音が、半年後のあなたの高音をつくります。

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