なぜ喉を痛めてしまうのか?ボイトレ初心者が陥りやすい5つの罠
“練習しているのに喉が痛い”…それ、努力の方向がズレているかもしれません
ボイトレを始めてみたけれど、「練習後に喉がイガイガする」「数分で枯れてしまう」「毎回痛みが残る」……。
それ、決してあなただけではありません。
むしろ、“正しく鍛えたい”と意識している人ほど、喉を痛めるリスクが高いというのが現実です。
そしてその原因の多くは、“頑張り方”の誤解にあります。
「大きな声を出す=良いトレーニング」
「腹から出せば喉は痛まない」
——そんな思い込みが、知らず知らずのうちに喉に負担をかけているのです。
喉を痛める原因①:張り上げるような発声で“声を出しにいってしまう”
ボイトレを始めたばかりの人によく見られるのが、声を喉で押し出すように張ってしまうフォーム。
本来、声は“鳴らすもの”ですが、「出そう」「響かせよう」とすると、喉周辺に力が入り、炎症の原因になります。
この癖があると、高音で喉を締め、低音で無理に押し出すといったパターンを繰り返すようになります。
喉を痛める原因②:呼吸が浅く、声の支えが足りない
「腹式呼吸」という言葉は知っていても、実際に“息を支える”感覚をつかめていない人は多いです。
結果として、浅い息のまま喉で声を処理してしまい、喉が過剰に働いて疲弊します。
この“支え不足”のまま練習を繰り返すと、喉の奥がヒリヒリする/声帯がむくむ/声が出なくなるという状況に陥りやすくなります。
喉を痛める原因③:準備運動・クールダウンを怠る
いきなり大きな声を出す。
終わったあと何もせずそのまま沈黙。
——これ、喉にとっては“運動前にいきなり全力疾走・運動後にストレッチ無し”と同じことです。
発声前後のケアをしないと、声帯の急激な緊張と弛緩により、粘膜がダメージを受けやすくなります。
喉を痛める原因④:練習時間や頻度の設計ミス
「毎日やれば上達するはず」
「1日30分は絶対声を出さなきゃ」
——このような“練習量重視”の設計も、喉トラブルを引き起こす原因になりがちです。
とくに声帯の筋肉が未発達なうちは、長時間の連続発声は疲労を蓄積させるだけ。
量より“質と回復のバランス”が重要であることを忘れてはいけません。
喉を痛める原因⑤:自己流でやってしまう/声を“聴かない”まま進めてしまう
動画やSNSを参考にして「なんとなく真似している」
「正しく出せているか不安だけど、とりあえず続けてみる」
——この“フィードバックのない自己流”は、間違った発声を固定化させ、喉への負担を増やしてしまいます。
本来、自分の声を「録音して聴く」「振り返る」「記録する」だけでも、負担のかかる発声にはすぐに気づけるはずです。
まとめ:喉を痛める原因は“頑張り方の誤解”にある
喉のトラブルを防ぐには、正しいフォーム・適切な呼吸・練習量の設計・声の観察が欠かせません。
つまり、「たくさん声を出すこと」ではなく、“身体の使い方と声の聴き方”を変えることが最初の一歩なのです。
次章では、喉に優しく、初心者でも安全に実践できる「喉を痛めにくいボイトレメニュー5選」を紹介します。
喉にやさしい発声をつくる!ボイトレメニュー喉を痛めにくい5選
「鳴らす」感覚を養えば、声はもっと自然に出せる
喉を痛めないボイトレのコツは、“出す”ではなく“鳴らす”という感覚をつかむことにあります。
力で声を出すのではなく、声帯を無理なく振動させ、身体全体で支えることで、声は驚くほど自然に響いていきます。
ここでは、初心者でも安心して実践でき、かつ声帯や喉周辺に負担をかけない「喉にやさしいボイトレメニュー」を5つ厳選してご紹介します。
① リップロール(唇トリル)で喉を脱力する
唇をプルプルと震わせながら息を流す「リップロール」は、喉・肩・顔周りの力みを抜くのに最適な準備運動。
声帯を優しく起動させ、無理なく息と声の流れを整える効果があります。
- やり方:「ぶ〜〜〜」と唇を震わせながら息を吐く。慣れてきたら音程をつけて「ぶ〜〜」と上下に。
- 効果:喉を締めずに声帯の閉鎖と息のバランスを調整
- 時間の目安:1日3分 × 2セット
② ストローボイス(SOVT)で声帯の負荷を軽減
細いストローを使って声を出すストローボイスは、「半閉鎖母音」トレーニングとも呼ばれ、声帯の負荷を劇的に軽減する発声法です。
この練習では、自然な息の流れと声帯の閉鎖が同時に調整され、喉が開き、力まずに芯のある声が出るようになります。
- やり方:ストローをくわえて、水の入ったペットボトルに息と声を通しながら「う〜〜」と発声
- 効果:過剰な呼気圧を抑制/喉の負担軽減/安定した声帯振動
- 時間の目安:1日3〜5分
③ ハミング+鼻腔共鳴で前方への響きを育てる
「ん〜〜〜」と鼻にかけて軽くハミングする練習は、共鳴腔を開放し、喉の奥に響きをため込まないためのトレーニング。
喉の奥ではなく、“前へ響かせる感覚”をつかむことで、声帯の無駄な緊張を解消できます。
- やり方:「ん〜」と軽く鼻にかけて発声し、そのまま「ま〜」「あ〜」に変えても響きを維持
- 効果:声の“抜け”と“前への通り”を改善/喉の奥の緊張を和らげる
- 時間の目安:1日5分程度
④ エッジボイスで声帯の鳴りを感覚でつかむ
「う〜〜〜」と低く、掠れるような音を出すエッジボイスは、最小限の息と筋肉で声帯を鳴らすトレーニング。
喉に力を入れずに、“鳴り始める瞬間”の感覚をつかむことで、無駄な力みを防ぎつつ声帯の起動スイッチを育てます。
- やり方:「あ”〜〜」と掠れるような声で数秒キープ。無理に鳴らさず、軽く振動する程度でOK。
- 効果:声帯の閉鎖感覚を養う/鳴らす起点を明確にする
- 時間の目安:10秒 × 3〜4セット
⑤ 母音ロングトーンで支えと息の流れを安定させる
「あ」「い」「う」「え」「お」の母音を、それぞれ一定の音で5〜10秒伸ばす練習は、呼吸と発音のバランスを整え、支えを身体で感じるためのベーシックメニューです。
滑舌ではなく、“息を乗せて鳴らす”ことを意識することで、喉にかけずに響きを作る練習になります。
- やり方:姿勢を正し、ゆっくり深呼吸してから「お〜〜〜」など母音を10秒キープ
- 効果:呼吸支えの定着/声帯への過剰な負担の防止
- 時間の目安:1音 × 2回 × 5母音(約5分)
喉を守りながら「しっかり鳴る声」を育てるのが理想
どんなに喉にやさしくても、ただ弱い声を出しているだけでは意味がありません。
大切なのは、鳴りや響きを育てつつ、喉に無理をかけないフォームを習得すること。
紹介した5つのメニューは、すべてそれを実現するために設計されています。
まずは1日10分から、「鳴らす」感覚を身体に染み込ませていきましょう。
次章では、これらの練習を無理なく日常に取り入れ、継続しながら喉を守る“1週間のボイトレ設計”をご紹介します。
喉を痛めずに続けられる!1週間の安全ボイトレメニュー設計
声は「休ませながら育てる」もの。安全と成長はトレードオフではない
「練習すればするほど上手くなる」
——そう思いがちですが、ボイトレにおいては“やりすぎ”が喉を壊す最大のリスクになります。
喉に優しく、でも確実に声を育てたいなら、練習と休養のバランスを最初から設計することが重要です。
ここでは、喉を痛めにくい練習法をベースに、「週に5日+2日軽め or 休養」という構成で無理なく続けられる1週間のメニュー例をご紹介します。
初心者でも続けやすい!1週間のボイトレスケジュール例
曜日 | メニュー構成 | 目的 |
---|---|---|
月曜日 | ・リップロール(3分) ・母音ロングトーン(5分) ・録音&フィードバック(5分) | ウォームアップ+声の支えを作る |
火曜日 | ・ストローボイス(3分) ・ハミング+母音切替(5分) ・短文の発話練習(5分) | 息と響きのバランスを整える |
水曜日 | ・録音再生+振り返り(5分) ・ストレッチと深呼吸のみ(3分) ・ノート記録(2分) | 軽負荷+“喉を休ませる練習日” |
木曜日 | ・エッジボイス+ロングトーン(5分) ・発音変化(あ→え→い)リレー(5分) ・録音チェック(5分) | 声帯の鳴りを育て、明瞭な発音へ |
金曜日 | ・ハミング→語尾発声(5分) ・「地声と裏声の切り替え練習」(5分) ・録音比較(5分) | 実用に近い声のつながりを整える |
土曜日 | ・自由練習 or フレーズ発声のみ(5分) ・前日までのベスト録音を再聴(5分) | 復習と気づきの整理 |
日曜日 | ・完全休養 or 呼吸だけ(3分) ・来週のテーマをメモ(2分) | 喉の完全休養+習慣の設計日 |
喉を守る1週間メニュー設計、3つのポイント
① 1日15分以下を“上限”にする
「たくさんやる」ではなく、“やりすぎない”のが上達の近道。
声帯も筋肉なので、オーバーワークするとすぐに炎症を起こしてしまいます。
まずは“短く・深く・継続的に”が基本です。
② 「毎日同じことをしない」ことで声をリフレッシュ
同じ練習の繰り返しは、肉体的にも精神的にも負担になります。
練習のバリエーションをつけることで、喉の疲労を分散しながら多角的に声を育てることができます。
③ 声を出さない日も「喉トレ」はできる
完全休養でもOK。
でも、「録音を聴く」「ストレッチだけ」「口パクで母音練習」など、声帯以外を鍛える選択肢も用意しておくと、“ゼロ日”がなくなり習慣が続きやすくなります。
まとめ:「痛めないボイトレ」は続くし、上達も早い
喉を守りながら、しっかり声を育てる。
そのためには、練習のやり方だけでなく、1週間という“リズム”を設計することが大切です。
力任せの練習ではなく、やさしく丁寧に、でも確実に。
それが、“結果の出るボイトレ”の秘訣です。
次章では、ここまでの知識と実践を踏まえ、喉を痛めないための思考法と習慣のまとめをお届けします。
まとめ:喉を守りながら声を育てるための戦略と思考法
喉にやさしい練習こそ、最も効率的なボイトレである
「喉を痛めずに練習したい」
「でも、それだと効果が出にくいのでは…?」
——そう思う方もいるかもしれません。
でも実は逆です。
喉をいたわる発声こそが、声を最短で育てる近道です。
なぜなら、声帯は“鍛えるもの”であると同時に“守るべき器官”でもあるから。
ダメージを繰り返すたびに、回復に時間がかかり、練習効率は下がっていきます。
この記事で学んだ「喉を痛めないボイトレ」の本質
- ● 痛める原因を知る:喉声・呼吸不足・準備不足・練習過多・自己流の継続
- ● 正しいメニューを選ぶ:リップロール/ストローボイス/ハミング/エッジボイス/母音ロングトーン
- ● 無理なく続ける:1日15分以内/週5日+2日軽負荷/“声を出さない日”の工夫
“出す”ではなく“鳴らす”という発声思考へ
喉を痛める発声は、「声を出そう」とする気持ちが強すぎるときに起きやすい。
でも、ボイトレは声を「鳴らす」もの。
身体の中で空気を整え、無理なく共鳴させる“発声環境”を整えてあげるだけで、声は自然と出てくれます。
つまり、練習とは“頑張る”ことではなく、“整える”こと。
この意識の変化だけで、喉の負担は大きく減り、発声効率は格段に高まります。
毎日の小さな積み重ねが、1年後の「通る声」をつくる
今日1日の喉ケアが、明日の発声の安定を生みます。
そして、1週間のリズム設計が、1ヶ月後の変化をつくります。
続ける中であなたの声は、強く、太く、そして痛みのないナチュラルな響きへと育っていきます。
声は変えられる。喉は守れる。そして、継続できる
・喉に負担をかけずに声を出せるようになりたい
・発声のたびにヒリヒリする不安を解消したい
・長く使える“通る声”を手に入れたい
——その願いは、今すぐにできる小さな工夫と習慣の積み重ねで、きっと叶います。
今日から始めてみましょう。
喉を守りながら、あなたらしい声を育てる、やさしくて確かなボイトレを。
Voishはどんな方にオススメできる?


・高音が出ない
・音痴をどう治したら良いか分からない
・Youtubeや本でボイトレやってみるが、正解の声を出せているか分からない