ハモリができないのは“音痴”だから?ズレの正体と種類別の音痴とは
「ハモれない自分って、もしかして音痴?」
カラオケや合唱でそんな不安を感じたこと、ありませんか?
でも、「ハモれない=音痴」ではありません。
この記事では、音痴の種類とハモリ困難の関係を丁寧に整理し、「なぜハモれないのか?」を原因から解き明かしていきます。
そもそも「ハモる」とはどういうことか?
ハモリとは、主旋律(メロディ)に対して、異なる高さの音を同時に出し、美しい和音を作る技術のこと。
これには、以下の力が必要です:
- ・相対音感(音と音の距離を感じる力)
- ・耳で複数の音を同時に聴き分ける力
- ・自分の音を“保つ”発声の安定性
つまり、ハモリが苦手な人は、「音痴だから」ではなく、音感や発声の訓練が不十分なだけという場合が多いのです。
音痴の種類とハモリ困難の関係
これまでの研究に基づき、音痴は主に以下のように分類されます:
- ① 耳音痴:音程の違いが聞き取れない
- ② 喉音痴:音は分かるが正しい音程で発声できない
- ③ 緊張型音痴:人前で声が安定しなくなる
- ④ 習慣型音痴:誤った歌い癖が身についている
- ⑤ 心理的音痴:「自分は音痴だ」という思い込みから声が出ない
この中で、ハモリ困難に特に関連が深いのは耳音痴と喉音痴です。
研究が明かす「ハモリが苦手な人」の共通点
以下の研究では、ハモリに困難を感じる人々に共通する特徴が明らかになっています:
- ・音感不足(相対音感が育っていない)
- ・自分の声の高さに無自覚(ピッチモニタリング能力の欠如)
- ・他者の声につられてしまう(発声の独立性が低い)
たとえば、米田(2022)の研究では、タブレット型の音程可視化アプリを使うことで、調子はずれの児童が自分の音のズレに気づき、改善した事例が報告されています。
これは、音感と自己認識力が育てば、ハモリも可能になるということを意味します。
「音痴」の自覚がある人ほど、改善しやすい?
小泉ら(2016)の研究では、自分の音程のズレに気づいていない人には視覚的フィードバックが効果的であり、気づいている人には自主的な練習を促す方が改善につながるという結果が出ています。
つまり、ハモれないことに悩んでいるあなたは、すでに改善のスタートラインに立っているのです。
まとめ:「ハモれない」=「音痴」と決めつけなくていい
ハモれない理由は、耳・発声・心理・習慣のいずれかに偏りがあるだけ。
その偏りを正しい方法で補えば、誰でもハモリは習得可能です。
次章では、「音痴タイプ別」に、ハモリを克服するためのトレーニング法をご紹介していきます。
音痴タイプ別:ハモリ克服のためのトレーニング法とその効果
「自分にはハモリなんて無理」
そう思い込んでいた人が、音痴のタイプに合った練習法でハモリをマスターしたという報告が、近年の研究でも増えています。
この章では、音痴の種類別に、ハモリを克服するためのトレーニング法とその効果を紹介します。
① 耳音痴タイプ:音感トレーニングで「音の距離」を感じる
耳音痴の人は、音の高低や音程の差をうまく聴き取るのが苦手です。
そのため、まずは単音・インターバル(2音間)トレーニングから始めることが重要です。
おすすめトレーニング:
- ・ピアノやアプリを使って「上がった・下がった」を聴き分ける練習
- ・2音間の「ド→ミ」「ソ→ド」などの模唱
- ・ハモリ練習ではなく、まず主旋律の模唱から始める
竹原ら(2011)の研究で開発された「ピッチダーツ」は、ゲーム感覚で音程を合わせる練習ができるシステムであり、子どもの音感改善に有効であったと報告されています。
視覚的に音の高低を理解できることで、音感が未熟な人でも“音をつかむ”感覚が養われます。
② 喉音痴タイプ:発声の安定で“自分の音”を保つ力をつける
喉音痴の人は、音の高さはわかっていても、その音を狙って発声する筋力や技術が未発達です。
効果的なトレーニング:
- ・「イー」「アー」など、1音を安定して10秒出す練習
- ・リップロール(唇を震わせて声を出す)でブレない声を体得
- ・YUBAメソッド(表・裏声の切り替え)による音程コントロール強化
Miyamoto(2005)の研究では、YUBAメソッドを用いた3週間の個別トレーニングによって、小学生の音程正確度が有意に向上したことが報告されています。
これは、発声能力を整えれば、ハモリでも自分の音程をしっかりキープできるようになることを示唆しています。
③ 緊張型音痴:リラックスと“聴く習慣”で他者と一緒に歌う力を育てる
緊張型音痴の人は、人前で声が震えたり、他人の声に飲み込まれて自分の音が出せなくなる傾向があります。
おすすめの対処法:
- ・「1人で歌う時間」を増やし、声に慣れる
- ・合唱アプリやYouTubeのコーラス音源で「自分のパートだけ聴く練習」
- ・自信のない時は“口パクハモリ”で、まず音を耳で感じる
小畑千尋(2005)の研究でも、「自分は歌えない」という自己否定が強いと、音痴意識が深まるとされており、安心できる環境で“聴く力”を育てることがハモリの第一歩になると示されています。
④ 習慣型音痴:「ズレた癖」を意識的に修正する練習
習慣型の人は、誤った音程で覚えているフレーズを“正しい音”として認識してしまっているため、楽譜や録音を使って音の修正が必要です。
おすすめアプローチ:
- ・ピアノ譜付きの練習(音の位置を視覚で確認)
- ・正しい音源を聞いて模唱する「シャドウイング法」
- ・録音→聞き返し→改善のサイクル
島宗(2020)の研究では、家庭用カラオケ機器と楽譜を併用した練習で、採点スコアが60点台から90点台へ向上した事例が報告されています。
つまり、「自分のズレ」に気づき、それをデータや楽譜で修正できれば、ハモリにも応用できる正確な音感が養われるのです。
まとめ:自分の音痴タイプに合った練習をすれば、ハモリは誰でもできる
ハモリができないのは、「音痴だから」ではなく、「音痴タイプに合った練習をしてこなかっただけ」。
あなたに合う練習法を選び、少しずつ耳と声を育てれば、ハーモニーの中で自分の音を気持ちよく響かせられる日が、必ずやってきます。
次章では、こうしたトレーニングを実際に続けた人が、どのように変わっていったのか。
ハモリを克服した研究事例と、成功者に共通する変化のポイントをご紹介します。
ハモリを克服した人の研究事例と、成功に共通する4つの変化
「自分にはハモリなんてできない」
そう思っていた人たちが、実際にハモれるようになった研究事例が、国内外で報告されています。
この章では、ハモリ習得に成功した人たちの改善プロセスを分析し、そこに共通していた“4つの変化”を紹介します。
事例①:音程可視化アプリで調子はずれを克服(米田, 2022)
帝京科学大学の米田巖根(2022)は、調子はずれ傾向のある児童に対し、音程可視化アプリを用いた指導を実施しました。
その結果:
- ・大幅にズレていた児童には、基準音→発声までに少し間を空ける訓練(条件A)が効果的
- ・通常のズレ傾向には、同時再生(条件B)で音程一致率が改善
この研究は、「視覚的フィードバックを通して、自分の音のズレを理解し、自主的に修正する力が育つ」と結論づけています。
事例②:視覚+聴覚フィードバックが成人にも効果(Berglin et al., 2022)
米国のBerglinらは、成人の不正確歌唱者(音痴)に対して、
- 視覚+聴覚フィードバック訓練
- 聴覚のみの訓練
- コントロール群(練習なし)
という3条件で20分間の訓練セッションを行いました。
結果:
- ・①のグループのみ、4音メロディ模唱テストで有意な音程一致率の改善が見られた
- ・②と③には統計的な差が出なかった
このことから、「ハモリのような複数音処理を必要とする歌唱には、リアルタイムの視覚的支援が有効」であると分かります。
事例③:YUBAメソッドで音程不正確児童の精度が向上(Miyamoto, 2005)
ハワイの小学生を対象に、YUBAメソッドのトレーニングを行ったところ、
- ・3週間で音程のズレが統計的に有意に減少
- ・音程が正確になったことで、ハモリ練習にも前向きになった
Miyamotoは、「音程が整えば、他者と声を合わせる=ハモリへの自信にもつながる」と報告しています。
事例④:家庭用カラオケと楽譜提示で習慣型音痴が改善(島宗, 2020)
「間違った音程を覚えている」習慣型の音痴傾向に対して、
- ・家庭用カラオケ機器の採点機能で数週間練習
- ・途中から楽譜を併用して、正しい音を“見て”修正
この方法で、スコアは60点台→90点台へと大きく改善されました。
「誤った音程認識を上書きし、正しい音程感覚を育てる」ことで、ハモリへの基礎力=音程保持力が強化されるのです。
ハモリ習得者に共通する“4つの変化”
- ズレている自分」に気づいた
アプリや録音によって、主観ではなく“客観視”できるようになった。 - 正しい音を知った
楽譜や可視化ツールで、自分の狙うべき音を“視覚で理解”するようになった。 - 聴く力と保つ力が育った
他人の声に惑わされず、自分の音を維持できる発声の安定感を獲得。 - 小さな成功体験を積み重ねた
「1音だけ合った」「揺れなかった」など、自分の進歩を認めて継続した。
まとめ:「ズレを直そう」ではなく「自分の音を育てよう」
ハモリ習得とは、他人と合わせる技術であると同時に、自分の音を信じてキープする技術でもあります。
研究事例からも分かるように、自分の音を“聴いて・整えて・保つ”力が育てば、ハモリは誰でもできるようになるのです。
次章では、ハモリ習得に特化した1日10分でできるトレーニングメニューを、タイプ別にご紹介していきます。
ハモリ力を育てる!タイプ別1日10分トレーニングメニュー
「ハモリが苦手…でも練習方法がわからない」
そんな方に向けて、音痴のタイプ別に1日たった10分でできるハモリ練習法をご紹介します。
すべて自宅で実践できる内容です。今日から“耳”と“声”を育てましょう。
① 耳音痴タイプ|“聞く力”を鍛えるメニュー
耳音痴の人は、音の高さの違いを聴き取ることからスタートします。
0〜2分:インターバル判別クイズ(アプリ or ピアノ)
- ・「上がった?下がった?」を即答
- ・正解率を毎日記録するとモチベーションアップ
2〜5分:2音模唱(「ド→ミ」「ソ→ド」など)
- ・音を聴いたら、同じ高さで「ラ〜」と模唱
- ・ズレたときは再挑戦せず、次に進むのがポイント
5〜10分:音感アプリ or ハモリ音源の主旋律パートを模唱
- ・ハモリではなく、主旋律だけを確実に歌う
- ・自分のピッチが揺れずに保てたら◎
② 喉音痴タイプ|“音を狙って出す力”を育てるメニュー
喉音痴タイプは、発声の安定性が鍵になります。
0〜2分:リップロールで声を整える
- ・「ブ〜〜〜」と唇を震わせながら、低→高→低とスライド
2〜6分:1音ホールド練習
- ・「イー」を1音だけ出し、5〜10秒キープ(揺れないかチェック)
- ・録音して「安定した音」が出た回数を記録
6〜10分:2音スライド練習+メロディ模唱
- ・「ド→レ」「ミ→ソ」など、上下2音だけで構成された簡単フレーズを練習
- ・自信がついてきたら、ハモリ曲の下声を試す
③ 緊張型音痴|“人の声に飲まれない”トレーニング
自分の声を保つことが目標です。
0〜3分:1人で口ずさむ時間を作る
- ・朝の支度中やシャワー中に「ラ〜」と自由に声を出す
3〜7分:片耳イヤホンで「自分の声と音源のバランス」を学ぶ
- ・音源を片耳で聴き、自分の声が他に飲まれないか確認
7〜10分:録音+「ブレなかった部分」だけ聞き返す
- ・ミスより成功に注目することで、自信を育てる
④ 習慣型音痴|“ズレた癖”を修正する再学習メニュー
正しい音感を再学習する必要があります。
0〜3分:ピアノ or 音感アプリで正しい主旋律を確認
- ・五線譜付きの教材があればなお良い
3〜7分:正しい音源に合わせて“シャドウイング”
- ・0.75倍速〜通常速度で繰り返し
- ・録音と聴き比べで違和感のある音を特定
7〜10分:ハモリ曲の一部を自分で「主旋律→下声」交互に練習
- ・切り替えることで“メロディの支配”から抜け出す
トレーニングを続けるためのヒント
- ・できたことを1日1行記録(例:「今日はドが合った」)
- ・週に1回、自分の録音を聞き比べて成長確認
- ・SNSではなく「自分の耳」を信じること
まとめ:1日10分の積み重ねで、ハモれる耳と声は育つ
特別な才能や時間がなくても、自分に合ったトレーニングを毎日続けることで、ハモリは確実にできるようになります。
次章では、これまでの内容を振り返りながら、「音痴の種類 ハモリ」というテーマの総まとめをお届けします。
まとめ:音痴の種類とハモリの関係を理解すれば、声はもっと自由になる
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
「ハモリができない=音痴」と決めつける必要は、もうありません。
むしろ、ハモリが苦手というのは、音痴の一種ではなく、“音と声のバランス感覚”をこれから育てる段階と捉えるべきです。
ハモリが苦手な人にありがちな誤解
- ・「音感がないから無理」と思い込んでいる
- ・「他の人の声に引っ張られるのは才能の問題」と感じている
- ・「ずっとできなかったから、自分には向いていない」とあきらめている
これらの悩みの多くは、耳と声のスキル不足、あるいは認知のクセによるものであり、正しい方法で練習すれば誰でも改善可能です。
音痴の種類とハモリの関係を整理しよう
ハモリができない原因を探るには、まず自分の音痴タイプを把握することが重要です。
・耳音痴:
音程の違いを聞き分けられない→相対音感トレーニングが有効
・喉音痴:
狙った音を出すのが苦手→リップロールやVFEで改善可能
・緊張型音痴:
他人の声に飲まれる→一人練習と少人数環境で安定感を育てる
・習慣型音痴:
ズレた音を正しいと覚えている→シャドウイングや楽譜視認が効果的
・心理的音痴:
「自分は音痴だ」と思い込んでしまう→成功体験の積み重ねが鍵
科学が教えてくれる“ハモリ改善の可能性”
以下の研究は、「ハモリは訓練で身につく」ことを裏付けています:
- ・音程可視化アプリで調子はずれ児童の音程一致率が向上(米田, 2022)
- ・視覚+聴覚フィードバックで成人の4音模唱力が改善(Berglin et al., 2022)
- ・YUBAメソッドで小学生の音程正確度が上昇(Miyamoto, 2005)
- ・家庭用カラオケと楽譜併用でスコア大幅アップ(島宗, 2020)
これらはすべて、「ハモれない人が、ハモれるようになった」事例です。
ハモリ習得のための実践ステップ(復習)
- 自分の音痴タイプを知る
- タイプ別トレーニングを10分だけ続ける
- 録音して、自分の“できたこと”を記録する
- 他人ではなく“昨日の自分”と比べる
特別な才能や音楽教育は不要です。
必要なのは「毎日少しずつやってみる」という行動だけ。
ハモれる自分に出会うのは、今日からでも遅くない
今日1音だけ、自分の声で「ラ〜」と出してみてください。
たったそれだけでも、あなたの耳と声の連携は動き出します。
そして、1週間後には、「あ、少しズレなくなったかも」と気づくはずです。
ハモリは、音に寄り添う力。そして、自分の音を信じる力。
その両方は、今日からあなたの中に育てることができます。
あなたの声が、音楽の中で自由に羽ばたく日を信じて
「音痴の種類 ハモリ」というテーマを通じて、あなたの声の可能性に気づいていただけたなら、これ以上の喜びはありません。
あなたの声は、まだ“知らないだけ”。
これから知れば、いくらでも自由に響かせることができます。
今日1音から始めて、1ヶ月後には自分の音を信じてハモる自分に出会えますように。
Voishはどんな方にオススメできる?


・高音が出ない
・音痴をどう治したら良いか分からない
・Youtubeや本でボイトレやってみるが、正解の声を出せているか分からない