「高音が出せないのは才能のせい」…そう思っていませんか?
「Aメロは出るのにサビで苦しくなる」
「裏声になってしまって気持ちよく歌えない」
「喉が痛くなって最後まで歌えない」
——そんな悩み、ありませんか?
実はこれらの多くは、発声の“しくみ”と“順序”を理解していないことが原因です。
高音は特別な才能ではなく、誰でもトレーニングで伸ばせる声域です。
ただし、それには「正しい方向」で「短くても継続できる練習」が欠かせません。
ボイトレ10分で本当に変われるのか?
答えは「Yes」。ただし、闇雲な練習では効果は出ません。
声帯、呼吸、共鳴。この3つを科学的に捉え、ステップ構造でアプローチすれば、1日10分のトレーニングでも“喉締め”を回避し、芯のある高音が出せるようになります。
本記事では、以下のような内容をお届けします。
- 10分でできる高音ボイトレの全体像
- 喉を痛めずに高音を出すための体の使い方
- 初心者でも“裏返らずに出せる”練習メニュー
- 1週間で実感できる“声の変化”とその再現性
「高音が出ない自分」に慣れてしまった方も、この記事で“自分の声”の可能性を取り戻せるはずです。
次章では、まず「なぜ高音が出ないのか?」その根本原因から紐解いていきましょう。
なぜ高音が出ないのか?|喉締め・裏声・力みの正体
「高音=苦しい」は間違い。正しく出せば、高音は楽になる
「高音になると苦しくて喉が締まる」「サビで声が裏返ってしまう」
このような悩みを抱えている人は非常に多いですが、実はこれらは“生まれつきの限界”ではありません。
むしろ、多くの場合、身体の使い方・意識の向け方・呼吸の浅さが原因で、“高音が出づらい癖”を自ら作ってしまっているのです。
1. 喉締めの正体は「息と共鳴のミスマッチ」
● 喉で絞るように声を出す=声帯が圧迫されている状態
高音を出そうとするとき、多くの人が“力を入れて”しまいます。
しかし実際には、声帯は高音ほど「柔らかく」「スピーディ」に振動する必要があるため、力むほどに動きは妨げられます。
● 息が不足していると、喉に力を入れるしかなくなる
本来、高音は支えられた息によって“スッと抜けるように”出すべきもの。
しかし息が浅くて押し出す圧が足りないと、喉周辺の筋肉に頼って絞り出すような発声になってしまいます。
2. 裏声でしか出ない=地声のフォームが崩れている
● 地声で高音を出すためには「共鳴腔」の拡張が必須
「地声で高音が出ない」という人は、喉が上がり、口腔や咽頭の空間が狭くなっている可能性があります。
その結果、空間的に音が響かず、強く出すには裏声に逃げるしかなくなってしまうのです。
● “裏返る”のは、声帯の閉鎖が不安定な証拠
高音が裏返るのは、声帯の閉じ方が弱まる→息漏れが増える→結果的に声が抜けるという流れで起きます。
この声帯の安定は、「適度な息の支え」×「声帯の柔軟な振動」があってこそ実現できます。
3. 力みの原因は「響かせる場所」が見えていないから
● 声の「通り道」が見えていないと、方向性が失われる
高音は、響きの“出口”が明確であることが重要です。
共鳴の方向が不明確だと、力をかけたまま上に押し上げようとしてしまい、喉が上がり、詰まったような音になります。
● 正しくは「音を上に押す」のではなく「上に抜く」
「音を通す」イメージを持つことが大切です。
目線より上、眉間・鼻腔・頭頂部などの“響きスポット”を意識すると、声が軽く跳ね上がるような感覚が得られるようになります。
4. 高音を“出せる体”になっていないだけ
● 背中・腹筋・肩甲骨まわりが固いと、ブレスも固まる
高音を支える息は、上半身全体のしなやかさがカギです。
特に、肩や首に力が入ったままだと、息が浅く、支えが弱まり、結果的に喉にすべての負担が集中してしまいます。
● 発声=全身運動。喉だけを使おうとするのは逆効果
発声は喉の技術ではなく、「全身の連動」で声が生まれる運動です。
だからこそ、10分という短時間でも「正しい体の準備」「脱力状態の確保」を行えば、高音は変わっていくのです。
「高音が出ない」の正体は“才能不足”ではなく“未調整”
・喉が締まる
・声が裏返る
・力みすぎて疲れる
これらはすべて、声を支える仕組みが未発達、あるいは誤った使い方になっているだけです。
声帯のコントロール、息の支え、共鳴腔の空間。
それぞれのバランスを整えていけば、今の自分の体のままで、高音は“出るようになる”のです。
次章では、毎日10分で“高音が楽に出せる”体とフォームをつくる具体的なトレーニングを紹介します。
10分でできる!高音ボイトレの基本メニュー
「正しい順番」と「正しい体の使い方」で高音は変わる
高音発声に必要なのは、“喉を鍛える”ことではありません。
必要なのは、①脱力 → ②支え → ③共鳴 → ④発声の順で声を準備すること。
この章では、毎日10分でできる「基本の高音トレーニング」を、ステップ構造でご紹介します。
STEP1:全身の脱力と姿勢リセット(2分)
● やり方:
- 深呼吸 × 3セット(鼻から吸って、口からゆっくり吐く)
- 首・肩・背中を回して脱力状態を確認
- 壁に背中をつけて、頭〜腰〜かかとが一直線になる姿勢にセット
● 目的:
「喉だけで出そうとする癖」をリセットし、息が通りやすい身体に整えることが狙いです。
この段階で体がリラックスしていないと、発声後に必ず“喉に詰まる感覚”が出ます。
STEP2:支えをつくる腹式呼吸トレ(2分)
● やり方:
- 仰向けになってお腹に手を置く(立ってでもOK)
- 吸うときに下腹を膨らませ、吐くときに凹ませる意識
- 10秒吸って10秒吐く×3セット
● 目的:
高音を出すときの安定した息の“支え”を体感します。
腹部で支えられた息があることで、声帯が無理なく高音に適応できるようになります。
STEP3:ハミング&リップロールで共鳴感覚を育てる(2分)
● やり方:
- 口を閉じて「ん〜〜」と5秒ハミング(眉間が振動するように)
- リップロール(唇をブルブル震わせながら「ぶ〜〜〜」と発声)
● 目的:
響きの「出口」を上方向(鼻腔・頭部)に誘導し、高音でも喉に頼らず抜け感のある響きをつくる準備を行います。
STEP4:ヤーン・サイ(あくび+ため息)で喉を開く(1分)
● やり方:
- 大きくあくびをするように口を開ける
- そのまま「はぁ〜〜」とため息のように声を出す
● 目的:
喉頭を下げて、咽頭腔を広げ、高音でも締まりにくいフォームを体で覚えます。
「喉が開いている状態ってこういうことか」を知る練習です。
STEP5:実践ボイス(「ネイ」「ゴー」「ナイ」など)で発声トレ(3分)
● やり方:
- 共鳴しやすい音(ネイ・ナイ・ゴーなど)を使って、5音階の上昇&下降スケール
- 無理に高い音を出そうとせず、「前に抜ける響き」を保ったまま出す
● 目的:
高音で裏返らないためのフォームと響きのコントロールを習得します。
特に「ネイ」は喉が締まりにくく、高音に適した共鳴の練習に最適です。
補足:1日10分でも、「正しい順番」で積めば“楽に出せる声”になる
10分という短さでも、このメニューのように“身体→息→響き→声”という順序でアプローチすれば、身体が高音に対応するようになっていきます。
次章では、この10分トレを無理なく継続するためのコツや心理的工夫についてご紹介します。
“10分高音ボイトレ”を継続するための工夫と習慣化テク
「たった10分」でも、続けないと意味がない。でも、続けられる設計なら話は別
高音ボイトレは、「今日ちょっと良くなった」ではなく「いつでも安定して出せる」ことを目指すトレーニングです。
そのためには、一度できた感覚を“体に定着させる”ことが重要。
この章では、10分高音トレを無理なく継続するためのコツと仕組みを紹介します。
1. “行動トリガー”で習慣を自動化する
● 「時間で決める」より「行動で決める」
「夜9時にやろう」より、「歯磨きのあとにやる」などのほうが継続率は高いです。
脳は“別の習慣に続けて動くこと”が得意だからです。
● おすすめのトリガー例
- シャワーを浴びたあと(体が温まって声も出しやすい)
- 朝のストレッチ後(体の力が抜けやすい)
- 寝る前の深呼吸とセット(副交感神経が優位で脱力しやすい)
このように「生活の流れの中に溶け込ませる」と、無理せず続けられるようになります。
2. 録音習慣で“気づける自分”をつくる
● 今日の声を聞いて、昨日の自分と比べる
高音は変化が小さく、体感だけだと気づきにくいことがあります。
だからこそ、録音して比較することで「少し高くなった」「響きが変わった」と確認できるようになります。
● 記録のおすすめテンプレ
- 4/1:「ネイ」でE4まで出た。少し響いた気がする
- 4/2:「ナイ」が詰まった→ヤーン・サイで喉を開いて改善
- 4/3:「ゴー」でG4まで伸びた!昨日よりラクだった
こうした気づきが「またやろう」「昨日より良くしたい」という自然な動機を生みます。
3. 完璧主義をやめると続けられる
● 「今日は声が出ないから休む」も立派な戦略
声のコンディションは日々変わります。
疲れている日は、無理に出そうとせず、リップロールやハミングだけにしても構いません。
● 「できる範囲でOK」のマインドが習慣を支える
3分でもOK、1音だけでもOK。
「続けた」という事実の積み重ねが、高音発声の“脳と身体の回路”をつくっていくのです。
4. ご褒美システムで“続けたくなる仕掛け”をつくる
● 小さな達成に小さな報酬を
・1週間続けたらお気に入りのスイーツ
・「G4が出たら」欲しかったガジェットを買う
など、感覚的な快楽と達成を結びつけることで脳が「続けたい」と感じるようになります。
5. 誰かに報告する or SNSに記録を残す
● 自分ひとりより「誰かの存在」が強力な継続の支え
友人に報告する、X(旧Twitter)で練習記録をつぶやく、アプリでログをつけるなど、「人に見られている感覚」があると継続率は一気に上がります。
“公開”というほどでなくても、「誰かに話す」ことで自分のモチベーションが整理されることも多いです。
継続とは、「意志」ではなく「仕組み」で決まる
「やる気があるうちは頑張れるけど、気づいたらやめてしまっていた」
そうならないために必要なのは、続けたくなる“仕組み”を生活に組み込むことです。
次章では、ここまでの知識とメニューを整理して、
「1週間で“高音が出る感覚”を実感する」ための具体的なプランをご紹介します。
1週間で“高音が出る感覚”をつかむボイトレ実践プラン
毎日10分だけ。それでも声は確実に変わっていく
ここでは、これまで紹介してきた内容を踏まえて、1日10分・7日間で「高音が出る感覚」をつかむための実践メニューを提案します。
「喉で頑張る発声」から、「身体全体で支える楽な高音」へ——その第一歩としてぜひ活用してください。
DAY 1|脱力と呼吸を整える日
- 深呼吸と肩・首のストレッチ(3分)
- 腹式呼吸(10秒吸って10秒吐く ×3セット)(3分)
- ヤーン・サイ(あくび+ため息)(4分)
まずは「喉で出そうとしない準備」を整えましょう。
この初日の体の緩みが、今後の響きやすさに直結します。
DAY 2|響きの感覚を育てる日
- ハミング(眉間や鼻腔に響かせる意識)(2分)
- リップロールで音階練習(5音スケール)(3分)
- ネイ・ナイ・ゴーを使った発声(中音域まで)(5分)
声の「抜け道」を作るトレーニング。
響きを上に誘導できると、喉が使われすぎず、裏返りにくくなります。
DAY 3|支えの安定化+中高音へのステップ
- ロングブレスで支え感覚の確認(3分)
- ゴー発声で低〜中音を支える(4分)
- 「ネイ」でE4〜F4を狙ってみる(3分)
この日は“声が裏返るライン”を探っていく日。
裏返ってもOK。原因を知ることが改善の鍵になります。
DAY 4|実践フレーズで響きの変化を体感
- 好きなサビの一節(例:「君の知らない物語」)を小声で練習(4分)
- 発音を変えて「ネイ」で代用して発声(3分)
- 録音して違いを聴き比べる(3分)
日常の中の「高音を含む言葉」を使ってトレーニング。
“自分の声を聞いて違いに気づく”ことが、次のステップに繋がります。
DAY 5|音階で高音にアプローチ
- 「ナイ」で3音 → 5音 → 7音階へ拡張(3分)
- 最高音を狙う「ネイ」挑戦(G4〜A4を目安)(4分)
- 出せた音をメモ・録音(3分)
少しずつ声帯の動きが慣れてくる頃です。
1音でも“楽に出せた”と感じたら、それが成果です。
DAY 6|フォーム再確認と発声の統合
- ヤーン・サイで脱力確認(2分)
- ハミング+発声のミックスで声のスムーズさを確認(4分)
- 昨日と同じ高音に再挑戦(4分)
声が“つながる”感覚を意識しましょう。
脱力→支え→響き→声という連動ができていれば、喉の負担が激減しているはずです。
DAY 7|ベストテイクを残す日
- ウォームアップ(ハミング・リップロール)(2分)
- フレーズ or 音階で「一番出しやすい音域」を録音(5分)
- 1週間の成長をメモ・振り返り(3分)
この1週間の中で最も心地よく出せた声を残しましょう。
たった7日でも、「出せなかった音が出た」「喉が痛くない」という変化が起こっていれば、それは確実な成長です。
「感覚が変わった」が最大の成果
出る出ないに一喜一憂するよりも、「響きの場所がわかってきた」「喉に力を入れなくなった」と感じられたら、それが“高音に向かっている証”です。
この先も、10分だけ続けてみてください。
1ヶ月後には、今よりもっと自然に、もっと楽に、高音が出せるようになっているはずです。
Voishはどんな方にオススメできる?


・高音が出ない
・音痴をどう治したら良いか分からない
・Youtubeや本でボイトレやってみるが、正解の声を出せているか分からない