なぜ“高音=裏声”ではなく“地声”で出したいのか?
裏声で出せても“物足りない”…その違和感の正体
「高い声は出るけど、なんだか弱い」「裏声っぽくて迫力がない」「カラオケでサビが物足りない」
そう感じているなら、それは裏声に頼りすぎているからかもしれません。
実は、声の“芯”や“厚み”は地声成分によって生まれます。
つまり、「高音=裏声」ではなく、地声で出す高音こそが、聴き手に響く声、感情を届ける声なのです。
そもそも「地声で高音を出す」ってどういうこと?
地声とは、話し声と同じ発声方法で、声帯がしっかり閉じて厚みのある振動をしている状態の声。
この声をそのまま音程だけ上に運ぶと、ある地点(喚声点)で苦しくなったり、裏返ったりします。
ここで多くの人が裏声に切り替えてしまうのですが、“地声の感覚を残したまま”高音域に到達することも、実は可能です。
それが、地声成分を含んだ高音=地声高音です。
なぜ“地声のまま高音”を出せるようになるべきなのか?
① 感情を込めた歌声になる
地声には倍音(響き)と母音の明瞭さがあります。
この成分が高音にも保たれることで、伝わる声・刺さる声になります。
裏声だけでは「きれい」には聞こえても、エネルギーや勢いに欠けるのです。
② サビで“抜けるような迫力”が出せる
カラオケやライブなどで、「ここぞ!」という部分で聴かせるには、地声の張りと鳴りが必要不可欠です。
地声のまま高音に到達できれば、曲の山場を張り上げずにしっかり通る声で歌いきることができます。
③ 裏声との切り替えを“感じさせずに”歌える
ファルセットとの切り替えが目立つと、声が“途切れたように”聞こえることがあります。
地声高音が使えると、フレーズ全体の一体感・滑らかさを保てます。
これはミックスボイスやミドルボイスの土台にもなり、応用力のある発声が可能になります。
「裏声ばかり使ってしまう…」という人の特徴
- □ 高音になると喉が苦しくなり、裏声に逃げる
- □ 「出しやすい」ことを優先して裏声を使っている
- □ 地声で高音を出す=張り上げるものだと思っている
これらはすべて、“地声のまま高音を出す技術”が身についていないだけです。
正しくトレーニングをすれば、誰でも喉を痛めずに地声高音を使えるようになります。
地声高音を出すには“張り上げない地声”が必要
ここで大切なのが、ただの地声=張り上げ声ではないという点です。
喉を締めて声を無理に高くするのではなく、響きをコントロールして“楽に出せる地声”を育てる必要があります。
そのためには、響きの位置・息の支え・声帯の閉鎖感をバランスよく保つことが求められます。
まとめ:なぜ今、“地声高音”が注目されているのか
- 裏声では届かない、エネルギーや強さを声に乗せられる
- カラオケやステージで「抜ける高音」が手に入る
- ミックスやミドルボイスの感覚づくりにも直結する
次章では、この“地声で高音を出す”ために、どんな準備が必要なのかを解説し、初心者でも実践できる基本トレーニングに進んでいきます。
初心者向け|地声で高い声を出すための準備と基本トレーニング
いきなり高音に挑む前に、“出せる状態”をつくる
地声のまま高音を出すには、喉や声帯に強さと柔軟性の両方が必要です。
しかし、多くの人は「出そう」として喉に力が入り、逆に声が出にくくなっています。
まずは、地声高音に適した体の使い方・響かせ方を整えることから始めましょう。
準備①:息の流れを整える“スッスッ呼吸”
目的:喉の力みを取り、発声時の息の支えをつくる
- 1. 背筋を伸ばして立つか、椅子に浅く座る
- 2. 鼻から息を吸い、お腹を軽く膨らませる
- 3. 口をすぼめて「スッ、スッ」と短く息を吐く
- 4. お腹の動きに連動して息が出ていればOK
この練習で呼気の勢いと方向性が整い、声を支えるベースができます。
準備②:声帯の“閉鎖感”を感じる「んーっ」トレーニング
目的:高音でも声が抜けない“芯”を育てる
- 1. 唇を閉じて「んーっ」とハミング(強めの鼻声で)
- 2. 頭の前側や鼻の奥が振動するように
- 3. 音程をC4→D4→E4→F4と少しずつ上げていく
しっかり響いていれば、“声が喉にこもらず、前に出る感覚”を掴めます。
基本トレーニング①:「あー」の1音ロングトーン
目的:声の安定性と響きの高さを整える
- 1. 「あー」と息を足さずに5秒~8秒キープ
- 2. 響きを前(鼻腔)に向けるイメージで
- 3. 声が揺れず、喉が詰まっていなければOK
ここで重要なのは音量よりも響き。
無理に張り上げず、軽さと芯を両立した声を目指します。
基本トレーニング②:音階ステップ「なーなー」
目的:高音に向けて地声のまま音程を上げる力を養う
- 1. 「なーなーなーなーなー」と5音階で発声(C4→G4)
- 2. 口を縦に開き、響きを上に集める
- 3. 喉がきつくなったら1音下げて調整
「な」や「ね」のように鼻にかかる母音は、声を前に導くサポートになります。
基本トレーニング③:語尾を“抜かずに”出す練習
目的:高音時の“最後まで響かせる”癖をつける
- 1. 「あーーー(語尾まで一定)」を意識
- 2. 最後に声がかすれたり、急に小さくならないように
- 3. 息が足りない場合は、出しやすいキーから
地声高音では、語尾で抜けないことが特に重要です。
安定感のある印象を作るポイントにもなります。
補足:よくある失敗と改善ポイント
- 喉が痛くなる → 音量を下げる/息を強く出しすぎない
- 声が裏返る → 音程を1音下げて再チャレンジ
- 音が鼻にこもる → 口の開きを縦に調整/顎を引きすぎない
まとめ:地声高音の準備は“感覚の土台”をつくること
- 喉や首に力を入れず、息の支えで声を出す
- 響きを上に運び、口腔や鼻腔で鳴らす
- “張らずに通る地声”を意識するのがポイント
次章では、こうして準備した「響く地声」を使って、実際に高音を地声で出すための実践トレーニングへと進んでいきます。
地声で高い声を出す実践トレーニング法とステップアップ
“張らずに出す地声高音”は練習でつくれる
準備が整ったら、いよいよ実践トレーニングへ。
この章では、「地声で高音を出す」ための段階的な実践法を紹介します。
ポイントは、高い音を無理に出すのではなく、“喉の動き・息の流れ・響き”を丁寧に保つこと。
正しい反復で、地声のままでも安定して高音を出せるようになります。
STEP1:低〜中音域で「響く地声」の再確認
目的:ベースとなる“安定した響き”を固定する
- 「あー」「なー」をC3〜G3でロングトーン(5秒以上)
- 音量は中程度、鼻腔にしっかり響くように
- 録音して、ブレ・音揺れがないかをチェック
音が揺れる場合は、息の支えが足りない or 喉が力んでいる可能性があります。
この段階での安定性が、後の高音を支える土台になります。
STEP2:音階トレーニングでhiA手前まで地声で上げる
目的:無理なく高音へ“声を滑らせる”技術を育てる
- 5音階(ドレミファソ)を「まー」で発声(C4→G4→A4)
- “引っかかる感覚”が出たら、無理せず1音下げる
- 声を「飛ばす」のではなく「上へ運ぶ」イメージで
この練習では、“喉が硬くなる前に止める”ことが肝心です。
声が自然に上がる範囲を繰り返すことで、喉周辺の筋肉が強化されていきます。
STEP3:hiA前後を使った“短音爆発”トレーニング
目的:高音でも芯を失わない一瞬の地声発声
- 「はっ」「おっ」「えっ」など短い単音で発声
- 1音ごとに息を止めて、強く出しすぎない
- hiA前後(G4〜B4)で3〜5セット
短音での反復は、一瞬で地声の芯を入れる感覚を育てます。
これを繰り返すことで、ロングトーンに移行しても崩れにくくなります。
STEP4:サビを“地声だけで歌う”部分練習
目的:実戦での応用力・スタミナをつける
- 好きな曲のサビ前後だけを抜き出して練習
- 裏声・ミックスを封印し、張りすぎない地声で通す
- 録音して「喉声になっていないか」「語尾が抜けていないか」を確認
最初はキーを1〜2音下げるのもOK。
“安定して響かせる”ことに集中しながら、「出せる実感」を身体に覚えさせていきます。
ステップアップ法:ミックス・ミドルへの移行を視野に
地声での高音に慣れてきたら、次はミックスボイスやミドルボイスと呼ばれる「混合型発声」へと移行していく段階です。
- □ hiB以上で喉に詰まりを感じたら、響きを前にシフト
- □ 息をやや細くして“地声+裏声の中間”を狙う
- □ ロングトーンや母音変化で響きの位置を探る
これにより、「喉を守りながら地声らしさを残す高音」が完成に近づきます。
補足:練習中の注意点とリセット法
- 喉が疲れたら → リップロール or ため息発声でリリース
- 音が裏返る → 音量を抑える/口をやや小さくする
- 出ない日は → 音域を2音下げて練習を継続
まとめ:地声高音は“筋トレ”ではなく“チューニング”
- 強さよりも、響き・支え・脱力のバランスが重要
- 1日10分の反復で、無理のない地声高音が育つ
- 高音発声=喉に力を入れることではない
次章では、こうして習得した地声高音を継続的に使いこなすための習慣設計と定着ポイントをまとめていきます。
地声で出す高音を安定させる習慣と維持のポイント
“出せた声”を“いつでも出せる声”に変えるために
一度出せた高音も、練習をサボるとすぐに出にくくなる──
それは、高音発声が繊細な感覚と筋バランスの上に成り立っているからです。
この章では、地声高音を無理なく継続するための習慣化のコツと、挫折防止のポイントを紹介します。
1. 毎日5分でも“触れておく”ことが最大の安定剤
目的:喉と声のバランスを“維持”する
高音発声は、筋トレよりも歯磨きに近い感覚。
短時間でも「毎日声を出すこと」自体が、最大のトレーニングになります。
- ● C4〜G4で「なー」「まー」5音階(2分)
- ● 「あー」ロングトーンで響きチェック(1分)
- ● hiA〜hiBの短音「おっ」で1〜2セット(2分)
これだけで、地声高音に必要な支えと響きのポジションを“維持”できます。
2. 声が出づらい日は“出そうとしない”切り替え練習
目的:喉を守りながらコンディションを整える
- □ リップロールで音を滑らせる
- □ 音程を2音下げて“軽く出る範囲”だけで練習
- □ ファルセットで響きを前に戻す
“出せない”ではなく、“出しやすい声に切り替える”ことで、喉をリセットできます。
3. 声を安定させる“ライフスタイル習慣”も味方につける
目的:日常生活から発声力を支える
- ● 水をこまめに摂る(喉の潤いを保つ)
- ● 姿勢を正す(息の通りと共鳴に直結)
- ● 鼻呼吸を意識(口呼吸は喉が乾燥しやすい)
これらの習慣は地味ですが、声の“安定持続力”を大きく左右します。
4. 地声高音の“感覚メモ”を残しておくと再現しやすい
「今日は調子良かった」だけで終わらせず、そのときの身体の感覚をメモしておきましょう。
- □ 息の強さは?
- □ 響いていたのは鼻?口?
- □ 顎や首はリラックスしていたか?
この感覚ログは、不調時に戻るヒントとして非常に有効です。
5. 完璧を求めすぎず“毎日つながっている声”を目指す
「今日もhiAまでいけなかった…」
そんな日があっても大丈夫。
大切なのは、高音と地声が毎日少しでもつながっていること。
それが続けば、自然と声帯も共鳴もチューニングされ、安定感が増していきます。
まとめ:地声高音は“積み上げ式”で育てる
- 継続するためには、短時間×毎日の“定点確認”がベスト
- 調子が悪い日こそ、リセット練習が成長につながる
- 声だけでなく、生活習慣が安定力を支える
あなたの地声高音は、今日の5分が積み上がった結果です。
「いつでも出せる声」に変えていく、その小さな一歩をこれからも大切にしてください。
Voishはどんな方にオススメできる?


・高音が出ない
・音痴をどう治したら良いか分からない
・Youtubeや本でボイトレやってみるが、正解の声を出せているか分からない