序章:迷わない全体設計――“元のS/Nを上げ、アプリはロスレス、距離と角度で仕上げる”
到達点の定義(ゴール)
- 明瞭度:子音が滲まず、語尾の2拍が細らない。
- 静けさ:環境ノイズが最小(無音区間の「サー」が目立たない)。
- 一貫性:同条件で撮り、テイク間比較ができる(フォーマット/距離/角度を固定)。
この3点は研究・実測の双方で“良い録音”の条件と一致します。スマホ録音は十分戦えますが、環境・距離・設定を外すと明瞭度が崩れます。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
最短ロードマップ(先に結論)
- 環境を静かに:エアコン/換気扇/PCファン/通知を停止。壁正面に厚手カーテン、床にラグで一次反射を抑制(クローゼット前は即効)。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
- マイクを口元へ:内蔵=数cmまで近接(無指向のため近接効果で低域暴れが少ない)/外付け単一指向=20〜30cm目安+オフ軸で破裂音回避。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
- アプリをロスレスへ:ボイスメモは必ず「非圧縮(ロスレス)」/GarageBandはWAV(44.1/48kHz, 24bit)で録る。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
- 伴奏はイヤホン再生:スピーカーを鳴らすと伴奏が回り込み、声が濁る。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
- 15秒テスト→A/B:無音→囁き→通常→サビの順でテスト、ON/OFFや距離差を即比較して微調整。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
なぜ「近接+ロスレス+静音化」が効くのか
最新の比較研究では、スマホ録音は基準機材と主要指標で高い相関を持つ一方、環境ノイズと口元距離が測定値と聴感を大きく揺らす要因でした。iPhone内蔵マイクは無指向ゆえ、口元に寄せるほど信号対雑音比(S/N)が向上し、同じ声量でも明瞭さが増します。圧縮録音は倍音・残響情報を削るため、歌の艶が痩せやすい—だからこそ非圧縮(ALAC/WAV)に切替える価値が大きい、という整理です。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
マイク種別の前提条件(選び方の地図)
- 内蔵マイク:可搬性最強。無指向なので近接しても低域過多になりにくく、数cmまで寄せてS/Nを稼ぐのが正解。AGCの影響で静音部のノイズが持ち上がることがあるため、一定の声量と静音環境をセットで。:contentReference[oaicite:8]{index=8}
- 外付け有線(Lightning/USB-C):単一指向で周囲ノイズを抑えやすい。専用アプリでゲイン/ローカット/リミッター等を事前設定すると録り音が安定。20〜30cm+オフ軸が起点。:contentReference[oaicite:9]{index=9}
- ワイヤレス:Bluetooth系は帯域と遅延の制約が大きく、歌録音には不利。専用デジタル無線(送受信機セット)なら高音質も、価格と運用を要確認。:contentReference[oaicite:10]{index=10}
アプリの基本設計(最初に直すべき3点)
- ファイル形式:ボイスメモ=設定→「オーディオの品質」→非圧縮。GarageBand=WAV/AIFF、44.1/48kHz・24bit。:contentReference[oaicite:11]{index=11}
- モニタリング:GarageBandの返しで遅延が気になるときは、エフェクト数を減らすかモニター無しで録って後処理。:contentReference[oaicite:12]{index=12}
- エフェクト:練習・評価用はドライで録る。リバーブ等は後から。カラオケ系アプリの自動処理はオフにできる範囲で。:contentReference[oaicite:13]{index=13}
屋内/屋外の原則(環境最適化の最短手順)
- 屋内:静音(家電停止・窓扉閉)→正面に布/床にラグ→壁から離れて歌う→クローゼット前は即効。:contentReference[oaicite:14]{index=14}
- 屋外:最大の敵は風。風防必須、風上に背を向け、遮蔽物のある場所を選ぶ。単一指向やショットガンで狙い撃ち。:contentReference[oaicite:15]{index=15}
15秒テスト・テンプレ(A/B基準化)
0–3秒:無音(床ノイズ確認) 3–6秒:囁き(開き量確認) 6–9秒:通常(子音の輪郭) 9–15秒:サビ一節(語尾2拍の細りチェック)
この短尺を「距離違い」「ロスレス設定の有無」「内蔵 vs 外付け」でA/Bすると、何を直すべきかが即断できます。:contentReference[oaicite:16]{index=16}
これからの章立て(本稿の進め方)
- 内蔵マイクでここまでできる:距離・角度・ポップ対策とボイスメモの最適化。
- 外付け有線マイクの正解:指向性・ゲイン・専用アプリとGarageBand連携。
- ワイヤレス運用の現実解:使うなら“どこに注意すべきか”。
- 屋内外の環境づくり:一次反射と風の“物理対策”を最短化。
- チェックリスト&トラブル対処:無音・歪み・回り込みを一発で直す。
内蔵マイクでここまでできる:距離・角度・ポップ対策とボイスメモの最適化
内蔵マイクの“強みと限界”——正しい使い方なら練習・配信用に十分
iPhoneの内蔵MEMSマイクは無指向に近く、口元へ寄せても低域が過剰に膨らみにくい特性があります。正面の音と周囲音を広く拾うため、距離と環境を整えれば“明瞭でクリア”に録れます。逆に距離が離れるほど部屋鳴りとノイズが混ざり、子音の輪郭が滲みます。まずは距離3〜8cmの近接を基本に、角度・風防・環境で仕上げます。
距離・角度・高さ(3点セット)の実践
- 距離:3〜8cmを基準。サビなど強い所は一時的に10〜15cmへ“引く”。
- 角度:息の直撃と破裂音(p/b)を避けるため、マイク開口を口から10〜20度外す“オフ軸”で当てる。
- 高さ:口と同じ、またはわずかに下。顎上がりを防ぎ喉の圧迫を避ける。
ポップ・風対策(簡易)
- 薄いティッシュ1枚+スマホケースの縁で簡易ポップフィルタ。息直撃を和らげられます。
- 屋外は必ず風防(スマホ用スポンジや“デッドキャット”)を装着。風上に背を向け、遮蔽物のある場所を選ぶ。
持ち方・固定(扱いノイズをゼロに)
- 手持ちは摩擦・タップ音が乗りやすい。ミニ三脚や譜面台固定が理想。
- 手持ちする場合は、マイク開口を塞がない位置を軽くつまむ。ケースが開口を覆うと高域が鈍ります。
ボイスメモ(iOS)の最適設定:まず“非圧縮”に
- 設定 → ボイスメモ → オーディオの品質=非圧縮(ロスレス)を選択。
- 録音後の「強調録音」は軽度のノイズ低減に有効だが、強めると金属感が出ることがある。ON/OFFでA/Bして自然な側を採用。
- ファイル名に
YYYYMMDD_Song_Take
等の規則を採用し、同条件比較を容易にする。
クイックテスト(15秒)で仕上げる
0–3秒:無音(床ノイズ) 3–6秒:囁き(開き量) 6–9秒:通常(子音の輪郭) 9–15秒:サビ(語尾2拍)
距離3→8→15cmの3パターンをA/Bし、語頭欠け・語尾細り・破裂音の少ない距離に決めます。
よくあるNG→即修正
症状 | 原因 | 修正 |
---|---|---|
サー音が目立つ | 距離が遠い/環境ノイズ | 距離3〜8cmへ寄せ、家電停止・窓扉閉。 |
破裂音が痛い | 真正面・息直撃 | 10〜20度オフ軸+簡易ポップ。 |
こもる・言葉が滲む | 部屋の一次反射 | 正面に布、床にラグ、壁から離れて歌う。 |
触る音が入る | 手持ち振動・ケース接触 | 固定設置、または持ち方を改善。 |
次章では、外付け有線マイク(Lightning/USB-C)でさらにノイズを抑え、解像度を上げる方法を解説します。専用アプリのゲイン・ローカット・安全なピーク設計まで踏み込みます。
外付け有線マイクの正解:指向性・ゲイン・専用アプリとGarageBand連携
選び方の地図――“部屋の現実”と用途で決める
- 単一指向ダイナミック(ボーカル向け):未処理の部屋でも回り込みに強い。近接でS/Nを稼げ、破綻しにくい。まずはここから。
- 単一指向コンデンサー(スタジオ系):静音・吸音が整っているなら解像度が高い。反射の多い部屋だと環境を拾いがち。
- ラベリア(ピン):一定距離で声量が安定。服擦れとポップに注意。
- ショットガン:狙い撃ちで周囲音を抑えたい動画運用向け。室内の反射には相性が分かれる。
接続の基本(USB-C/Lightning)
- デジタル接続を優先:USB-C(またはLightning)直結の“クラスコンプライアント”マイク/オーディオIFを選ぶ。アナログTRRSは誤認識や感度不足が起きやすい。
- 公式アダプタを使用:USB-C to USBやLightningカメラアダプタなどは純正推奨。給電が必要なマイク/IFは電源供給可のハブを併用。
- アプリのマイク権限を許可:iOS設定>プライバシーとセキュリティ>マイク。
距離・角度・高さ(有線外付けの基準)
- 距離:単一指向のハンドヘルドは20〜30cmを起点。サビで押しそうなら30〜40cmへ一時的に“引く”。
- 角度:口の正面を10〜30度オフ軸。ポップガードはマイク手前7〜10cm。
- 高さ:口と同高かやや下。顎上がりを防ぎ、喉の緊張を避ける。
ゲインの“安全ライン”――小さすぎず、決して歪ませない
- マイク/IFの入力つまみで、通常 −12〜−18dB、最大 −6dB付近に収まるよう調整(アプリのメーターで確認)。
- 歪み(クリップ)は後処理不能。サビで飽和するなら距離を引く→ゲインを1目盛り下げるの順で対処。
専用アプリ(メーカー提供)で“前処理”を整える
一部の外付けマイクは、純正アプリでゲイン、ローカット、リミッター等をセットできます。歌の基本は次の“薄味”です。
- ローカット:80–100Hzで軽く(空調やハンドリング低域を整理)。
- リミッター:保険として薄く。常時作動は避ける。
- ノイズ抑制/AGC:練習・評価用はオフ。素材はドライが原則。
GarageBand(iOS)との最短連携
- 新規>オーディオレコーダー(マイク)を選び、入力を外部マイク(Mono)に。
- モニターは必要最低限。遅延が気になるときはエフェクトを切るか、マイク/IFの直モニターを使う。
- 録音はWAV/AIFF(44.1/48kHz・24bit)で書き出し。
- 判定はドライ再生(リバーブ・コンプはオフ)。A/Bで距離・角度・ゲインを微修正。
タイプ別・“まずこの設定”早見表
タイプ | 距離/角度 | 前処理 | 注意 |
---|---|---|---|
ダイナミック(単一) | 20–30cm/10–20°オフ軸 | ローカット80–100Hz | 近接でS/N↑。サビは30–40cmへ。 |
コンデンサー(単一) | 25–35cm/10–20°オフ軸 | ローカット80–100Hz、リミッター薄 | 反射を拾いやすい。簡易吸音を追加。 |
ラベリア | 胸元15–20cm、やや外向き | ローカット100Hz | 服擦れ対策。ポップに注意。 |
テスト手順(60秒で確定)
- 環境静音→距離20cmで15秒パック(無音/囁き/通常/サビ)。
- 距離30cmで同じフレーズを再録。
- 2本をA/Bして、語頭欠け・語尾2拍の細り・破裂音の少ない距離に確定。
チェックリスト(録る前30秒で○×)
- 外付けマイクを公式アダプタで接続、権限許可OK。
- 距離20–30cm、10–30°オフ軸、口と同高(または少し下)。
- ゲインは通常 −12〜−18dB、ピーク −6dB付近。
- アプリは非圧縮、判定はドライ、伴奏はイヤホン再生。
ワイヤレス運用の現実解:使うなら“どこに注意すべきか”
結論:Bluetoothは“歌録音向きではない”。使うならデジタル無線一択
iPhoneとマイクを無線接続する方法は大きくBluetoothと専用デジタル無線(2.4GHz 等)に分かれます。歌録音では、帯域・遅延・マイク側の送信プロファイルの制約から、一般的なBluetoothは明瞭度とタイミングに不利です。どうしても無線が必要なら、専用デジタル無線の送受信セットを選び、受信側はUSB-C/Lightning経由のデジタル接続で取り込む運用が現実解です。
Bluetoothが不利になる理由(歌の観点)
- 帯域の制約:通話系プロファイルでは帯域が狭く、歌の倍音や語尾の余韻が削られやすい。音楽再生時は広帯域でも、“マイク入力”に切り替わると狭帯域プロファイルに落ちる挙動が一般的です。
- レイテンシ(遅延):モニタリングや動画のリップシンクがズレやすい。練習のフィードバック精度が下がります。
- 自動制御の影響:端末やイヤホン側のAGC/NRが入ると、語尾2拍の細りや“水中感”が出やすい。A/B判断が難しくなります。
無線を使うなら:専用デジタル無線(2.4GHz等)の運用指針
送受信一体のデジタル無線(ラベリア/トランスミッタ+レシーバ型)は、広帯域・低遅延で歌に向きます。導入時は次のチェックを必ず。
- 接続形態:レシーバがUSB-C/Lightningデジタル出力に対応しているものを優先。TRRSアダプタ経由はレベルや認識でつまずきやすい。
- ゲイン設計:トランスミッタ入力→レシーバ出力→iPhone側の録音アプリの3段で過不足がないかA/B(通常 −12〜−18dB、最大 −6dB付近)。
- 指向性と設置:ラベリアは胸元15〜20cm・やや外向き。ブレスが多い曲は口からの直風を避ける角度に。服擦れをテープ等で抑える。
- ローカット/リミッター:可能ならローカット80–100Hzを浅く、リミッターは“保険”で薄く。常時作動は避ける。
- 電波・電源:2.4GHz帯は混雑しやすい。Wi-Fiルータ横を避け、見通し線を確保。残量表示のある機種を選び、長時間配信は給電しながら運用。
ワイヤレスのA/Bテスト(60秒で可否判断)
- 無線ON・屋内静音で「無音→囁き→通常→サビ」の15秒パックを録る。
- 同条件で有線(外付け)または内蔵近接でもう1本録る。
- 2本をA/Bし、語頭欠け・語尾2拍の細り・服擦れ・RFノイズの少ない方を採用。拮抗なら無線で可、劣るなら有線へ戻す。
トラブル早見表(ワイヤレス)
症状 | 主因 | 即対処 |
---|---|---|
シャー/プツプツが混じる | RF干渉・距離・見通し遮断 | レシーバをiPhone近傍・見通しに/ルータや金属物から離す。 |
語尾が細る・息が吸われる | 内蔵NR/AGCが強い・ゲイン過低 | 送受でゲインを上げ−12〜−18dB域へ/端末側の自動処理をオフ。 |
服擦れ・タッチノイズ | ラベリア固定不良 | ケーブルをループ留めして引っ張られを吸収/スポンジ風防を追加。 |
口と音がズレる | 内部遅延+動画同時撮影 | アプリのレイテンシ補正有無を確認/無線強度を“低〜中”に落とし遅延を最小化。 |
チェックリスト(配信・収録前30秒)
- 無線はデジタル送受・USB-C/Lightningのデジタル取り込み。
- 距離と角度:ラベリア=胸元15–20cm・やや外向き。ハンドヘルド=20–30cm・10–30°オフ軸。
- ゲイン:通常 −12〜−18dB/最大 −6dB付近。
- 静音化:家電停止・窓扉閉。服擦れ・ケーブル引っ張りなし。
- 15秒パックのA/B録音で採否を確定。
屋内外の環境づくり:一次反射と風の“物理対策”を最短化
屋内:一次反射を3点だけ止める(正面・床・天板)
部屋鳴りは歌の子音をにじませ、語尾の明瞭さを奪います。まずは“最短の3点止め”。①歌う方向の正面、②足元の床、③卓上なら天板。ここに柔らかい素材を当てるだけで、明瞭度が大きく改善します。
- 正面:厚手カーテン・毛布・布団を壁に掛ける(幅=肩幅×2が目安)。
- 床:ラグやカーペットを敷く(マイク前〜足元まで)。
- 天板:卓上ならタオルやスポンジを敷く。譜面台にも薄手布で反射抑制。
さらに、クローゼット前(衣類面に向かう)や、本棚の“凸凹”を背面に置くと拡散が働き、フラッターエコーが収まりやすくなります。
配置テンプレ(文字図)
[布・毛布] ← 歌う方向(正面吸音) ↑ (あなた) —— 0.2〜0.4 m —— [マイク/スマホ] ↓ [ラグ](足元一帯)
“部屋チェック”は手拍子と15秒パックで
- 手拍子テスト:パチン→「ビヨン/チリチリ」と尾を引けば反射過多。正面布を広げ、床ラグを敷き足す。
- 15秒パック:無音→囁き→通常→サビを録音し、布の有無でA/B。語頭の立ち上がりと語尾2拍の聴こえ方で判断。
屋外:風と環境音の“源流”を断つ
屋外最大の敵は風と広帯域の環境音(交通・人混み)。風が1 m/sでも無加工の内蔵マイクは簡単に飽和します。対策は次のとおり。
- 風防:スマホ用スポンジや“デッドキャット”を装着。ない場合はティッシュ+メッシュで代用(音量を落としすぎない薄さで)。
- 風向き:必ず風上に背を向ける。建物の陰・生垣・車の風下など、風が巻かない場所を選ぶ。
- 時間・距離:交通・人通りが少ない時間帯/場所へ。広場中央よりも壁面近くの“遮蔽”が効きやすい。
内蔵/外付けに共通する“速効の静音化”
- 家電停止:エアコン・換気扇・PCファン・加湿器を切る。スマホは機内モード(録画時は時計同期の必要に応じてWi-Fiのみ)。
- 回り込みゼロ:伴奏は必ずイヤホン再生。スピーカーは鳴らさない。
- 固定設置:手持ちは扱いノイズの温床。ミニ三脚・クランプ・譜面台固定を基本に。
距離と角度の見直しで“環境ノイズ”を相対的に下げる
同じ環境でも、口元まで寄せれば寄せるほどS/Nは上がります。内蔵は3〜8cm、外付け単一指向は20〜30cm+10〜30°オフ軸が起点。サビは一時的に引いてピークを逃がす、という“可変距離”運用を取り入れると、無理な後処理が要らなくなります。
ケース別・即効ワーク
症状 | 原因 | 30秒でやること |
---|---|---|
サー音が常に乗る | 家電・交通・口元が遠い | 家電OFF→距離3〜8/20〜30cmへ→正面布+床ラグを追加。 |
言葉が滲む/こもる | 一次反射・机反射 | 正面布を肩幅×2、天板にタオル、壁から50cm離れて歌う。 |
破裂音・息直撃が痛い | 真正面狙い・風防なし | 10〜30°オフ軸+簡易ポップ(風防)。サビは+5〜10cm引く。 |
屋外でボコボコ風切り | 風防なし・風上 | 風防装着→風上に背→遮蔽物のある場所へ移動。 |
仕上げの“15秒パック”で可否判断
0–3秒:無音(床ノイズ) 3–6秒:囁き(開き量) 6–9秒:通常(子音の輪郭) 9–15秒:サビ(語尾2拍)
布・ラグ・距離・角度の各パターンをA/Bし、語頭欠け・語尾2拍の細り・破裂音が最小の組合せに決めます。判断は必ずドライ再生で。
チェックリスト&トラブル対処:無音・歪み・回り込みを一発で直す
録る前30秒プリチェック(固定テンプレ)
- 環境静音:エアコン/換気扇/PCファン/通知OFF、窓扉は閉。
- 伴奏はイヤホン:スピーカー再生は回り込みの元。
- 距離・角度:内蔵3〜8cm/外付け20〜30cm+10〜30°オフ軸、口と同高〜やや下。
- 固定設置:ミニ三脚・譜面台でスマホ/マイクは必ず固定。
- フォーマット:ボイスメモ=非圧縮、GarageBand=WAV/AIFF(44.1/48kHz・24bit)。
- 15秒パック:無音→囁き→通常→サビでテスト録音し、A/Bで距離・角度を微修正。
症状別・原因と即対処(最短ルート)
症状 | 主因 | 30秒でやること |
---|---|---|
無音(録れない) | 権限未許可/入力先誤り/ケーブル不良 | 設定>プライバシー>マイク許可→アプリ再起動/外付けは公式アダプタで再接続。 |
小さすぎ・ザラつき | 距離が遠い/ゲイン不足(外付け) | 内蔵=3〜8cmへ寄せる/外付け=20〜30cmで入力レベルを通常−12〜−18dB、最大−6dB付近に。 |
サビで歪む・押し声 | ゲイン過多/距離一定 | サビだけ+5〜10cm“引く”→まだ歪むならゲインを1目盛り下げる。 |
破裂音・息直撃が痛い | 真正面狙い・風防なし | 10〜30°オフ軸+簡易ポップ(ティッシュ薄/風防)。 |
言葉が滲む・こもる | 一次反射(壁/床/天板) | 正面に布、床にラグ、机にタオル。壁から50cm離れて歌う。 |
伴奏が混ざる・ハウリング | スピーカー再生/回り込み | イヤホン再生へ切替、スピーカーはミュート。 |
触る音・カサカサ | 手持ち振動/ケースが開口を覆う | 固定設置、ケースがマイク開口を塞がないか確認。 |
屋外でボコボコ風切り | 風防なし/風上に向く | 風防装着→風上に背→遮蔽物のある場所へ移動。 |
Bluetoothで細る・遅れる | 狭帯域プロファイル/遅延 | 有線へ戻すか、専用デジタル無線+USB-C/Lightning受信に切替。 |
チェックポイント(録った後の“ドライ判定”)
- 波形の頭:四角く潰れていないか(クリップ)。潰れていれば要再録。
- 語頭の立ち上がり:子音が見える/聴こえるか。見えなければ正面布や距離を見直し。
- 語尾2拍:途中で細っていないか。距離・角度・息配分を調整、アプリのNR/AGCはオフへ。
“15秒パック”の使い回しで、毎回同条件比較
0–3秒:無音(床ノイズ) 3–6秒:囁き(開き量) 6–9秒:通常(子音の輪郭) 9–15秒:サビ(語尾2拍)
距離(近・中・遠)/角度(0°/10°/20°)/環境(布あり/なし)でA/Bし、最小の調整で最大の改善を得ます。記録はYYYYMMDD_Song_Take
で統一。
“救急セット”——常備しておくと困らない小物
- ミニ三脚・クランプ(固定用)/ポップガード or 風防/厚手布&ラグ(簡易吸音)/公式アダプタ(USB-C/Lightning)/有線イヤホン。
まとめ:今日から回す“iPhone歌録音テンプレ”
最短テンプレ(30分)
- 環境 5分:家電停止・窓扉閉→正面に布・床にラグ→伴奏はイヤホン。
- 距離/角度 5分:内蔵3–8cm/外付け20–30cm+10–30°オフ軸、口と同高〜やや下。固定設置。
- 設定 5分:ボイスメモ=非圧縮、GarageBand=WAV/AIFF(44.1/48kHz・24bit)。アプリの自動処理はオフ。
- 15秒パック 5分:無音→囁き→通常→サビを録音、距離/角度をA/Bで確定。
- 本番 10分:テイク数は3本まで。
YYYYMMDD_Song_Take
で保存、ドライで判定。
“薄味の原則”で劣化を防ぐ
- 素材は非圧縮、加工は最小限。判定は必ずドライ再生。
- 距離は可変(サビで+5〜10cm“引く”)。破裂音はオフ軸+簡易ポップで物理対策。
- 無線は可否A/B。劣る場合は有線/内蔵に戻す勇気を。
1週間の目標(現実解)
- 録音安定:毎回クリップゼロ、無音トラブルゼロ、伴奏回り込みゼロ。
- 可読性:語頭の立ち上がりが見える波形/語尾2拍が細らない録音。
- 再現性:同条件フォーマット&命名規則で比較がすぐできる。
コピペ用・最終チェックリスト(配信/収録直前60秒)
- 静音OK/正面布・床ラグ設置/イヤホン再生。
- 距離・角度:内蔵3–8cm/外付け20–30cm+10–30°オフ軸。
- フォーマット:ボイスメモ=非圧縮/GB=WAV/AIFF(44.1/48kHz・24bit)。
- 15秒パックでA/B→語頭・語尾OKを確認。
- 3本だけ本番テイク→最良1本を採用。
今日からこのテンプレで“明瞭でクリア”なiPhone歌録音が作れます。重要なのは環境→距離→設定の順に整えること。素材が整えば、後処理は最小で済み、歌のニュアンスを壊しません。
Voishはどんな方にオススメできる?


・高音が出ない
・音痴をどう治したら良いか分からない
・Youtubeや本でボイトレやってみるが、正解の声を出せているか分からない